昨季からメジャーリーグで採用された「チャレンジ」、いわゆる「ビデオ判定」が、今季は昨季以上に頻繁に利用されています。

 5月13日の「ドジャース-マーリンズ戦」では、マーリンズの右翼手スタントンのショートバウンドの捕球を巡って、ドジャース側が「チャレンジ」。さらに、マーリンズは一塁ベース上での判定を不服として、ビデオ判定を仰ぐなど、ほぼ毎試合のように「チャレンジ」が見られるようになりました。結果的に、前者は「判定のまま」、後者は「判定差し戻し」と、明暗を分けましたが、いずれにしても「ビデオ判定」は、定着したと言っていいのかもしれません。

 日本でもメジャーに即する意味で、「ビデオ判定」が導入されましたが、本塁打判定だけの日本と、各プレーで「再審」が可能なメジャーとは、少しばかり趣が違うようです。日本の場合、「ビデオ判定」となっても、映像を確認するのは審判団だけ。しかも、映像機器の問題もあり、地方球場ではチャレンジできません。

 メジャーの場合、当該球団が「チャレンジ」するかどうか、球団内のビデオ担当に確認している間でさえ、球場内のスクリーンには、再三のようにスローVTRが流されています。選手たちも、その映像を確認しながら、次のプレーへの準備を始めるなど、「開かれた形」で、ビデオ判定が実施されています。

 4月16日。イチローが本塁突入の際に見せた「忍者スライディング」は、5分44秒もの時間を要した結果、「アウト」が「セーフ」に覆りました。その間、スタンドのファンは、何度となく、そのシーンを確認しながら最終判定を待っていたわけです。

 ビデオ判定の方法、是非については、今後も論議を呼ぶことでしょう。ただ、マーリンズのレドモンド監督は「今はいろんなことを試している段階」とする一方で、「ファンが楽しんでくれるのはいいこと」と、話しています。

 判定の正確性を問うことも必要ですが、熱心に見ているファンにも納得してもらうスタンス。同じような制度を導入しても、日米間で少しばかり違和感を覚えるのは、気のせいでしょうか。