ヤンキース田中将大投手(26)が、タイガース戦で6回1/3を1失点と好投し、完全復活をアピールした。今季初めての中4日で、試合開始時の気温が0・5度と極寒の悪条件だったが、12年の3冠王カブレラら強打者ぞろいのタ軍打線をわずか3安打に抑えた。勝敗は付かず今季3勝目はならなかったが、チームの勝利に貢献。昨季痛めた右肘の問題もないようで、好調時の投球を取り戻した。

 試合前には雪がちらつくほどの寒さの中、田中が回を追うごとに調子を上げていった。「こういう天候ですし、初回の入りは、自分の状態も含めて慎重になった部分はあった。体全体の動き方っていうのは、難しかった」という。先頭にいきなり三塁線を破る二塁打を打たれ、4番V・マルティネスの犠飛で先制点を許した時は、ベンチのジラルディ監督も心配そうな表情を浮かべた。

 2回からは「相手がそんなに積極的には打ちにきてなかったんで、もうひとつ大胆にストライクを取りにいこう」と、気持ちを切り替えた。変化球やムービング系の球がよく動き、この日奪った空振りは11度。12年3冠王のカブレラには1回に四球を与えたものの、その後の4、6回とも右飛。リーグ屈指のDH、V・マルティネスも無安打、キューバの大砲セスペデスには4回にスプリットで3球三振を奪うなど圧倒した。女房役のマキャンも「すべての球が生きていた。マウンドに上がるたびに(失点)ゼロと勝利を期待できる、昨季の良いときと同じ投手だよ」と絶賛した。

 オープン戦から中5日での調整を続けてきた田中にとって、中4日は右肘故障後初でもあった。しかもデーゲームの登板だったため、実質的には「中3・5日」とあって登板間の投球練習で球数を減らすなど、調整法も変えてきた。しかしこの日の好投で、右肘の不安を払拭(ふっしょく)した。ジラルディ監督は「すべての球種を使い、タフな打線を相手に見事だった。(オープン戦からスロー調整だったが)これがスタート。もっと良くなっていくだろう」と太鼓判を押した。

 田中は勝利投手にこそならなかったが、確かな手応えをつかんだ。「数字だけで見れば1失点で、リリーフに助けてもらいましたけど、1失点で終わることができましたし、チームが勝ったんで、それが一番ですね」と満足感をにじませた。【水次祥子】