定位置の「1番」に復帰したジャイアンツ青木宣親外野手(33)が、6月10日以来今季7度目の猛打賞でチームに勝利を呼んだ。1回の左前打で先制のホームを踏むなど、5打数3安打と大暴れ。ワイルドカードを争う中地区2位のパイレーツに今季5試合目で初勝利し、西地区首位ドジャースにも1・5ゲーム差に接近した。

 見慣れた景色にバットがスムーズに反応した。青木の打順は、脳振とうで故障者リスト入りする前の8月12日アストロズ戦以来となる1番。前日の6番から指定席に戻ると、第1打席に左前打を響かせた。三塁に進んだ後、4番ポージーの左犠飛で先制ホームを踏んだ。続いて、新加入バードが移籍後初打席で2ラン。2回には先発バムガーナーが早くも5号2ランと、前日完封された打線が序盤で5得点の攻撃を仕掛けた。

 青木の快音は止まらなかった。第2打席は止めたバットに内角球が当たり、フワリと浮いた打球がヒットとなる幸運もあった。第4打席には、右中間にもう少しで本塁打かという二塁打。「悪いのも出たが、いい形で次に生かすことができた」と目を輝かせた。

 右足骨折から戦列復帰した直後は、打席での感覚のズレに悩まされた。本来のスイングを取り戻しかけたところで頭部への死球。再び戦列を離れ、「頭はちょっと痛かったけど、それ以外の体は休めることもできたし、トレーニングもできた。うまく時間を利用できた」と、つかみかけた感覚を忘れなかった。

 ジ軍はこの勝利で地区首位ドジャースに1・5ゲーム差と迫った。ワイルドカード2位のカブスとは4ゲーム差あり、プレーオフ進出のためには、3年ぶりの地区優勝を狙うのが現実路線。幸いにも、残り40試合でド軍との直接対決は7試合ある。青木は「特に大事なのは9月。それまでに上にいければいいが、上がしっかり見えている状態、そういう可能性を残しながら毎日を終えたい」と、勝負のラストスパートを意気込んだ。【佐藤直子通信員】