<パイレーツ3-12カブス>◇25日(日本時間26日)◇PNCパーク

 【ピッツバーグ(米ペンシルベニア州)=佐藤直子通信員】カブス福留孝介外野手(31)が復調した。パイレーツ戦に「7番右翼」で先発し、5月14日以来となる3安打&メジャー自己最多の4打点をマークした。先制、中押し、ダメ押しの得点機できっちり仕事を果たし、「チームも勝てたし、結果が出たことはよかった」と大勝を喜んだ。アドバイスを送ったピネラ監督も「いい打者は反応が早い」と満足げ。カブスは貯金を31に増やした。

 バットが息を吹き返した。2回1死三塁から右犠飛を放って先制点を演出すると、5回無死満塁の第3打席には、カウント1-3からのやや外角速球を左前に運び、中押しとなる2打点をあげた。7回にも左安打。締めは9回無死二塁からの第5打席。フルカウントからの7球目スライダーをコンパクトに振り抜き、右翼線二塁打でダメを押した。

 早出特打ちが功を奏した。これまでのビデオ指導に続き、この日、首脳陣は福留のため、遠征地ながらも全体練習前に約30分間の特打ちを実施した。

 「あれだけの時間で数を打たせてもらえれば、普段できないことや自分のやりたいことも少しはできるしね」。前日ピネラ監督が指摘した踏み出しの大きさやコンパクトな振りをはじめ「自分でやりたいと思っていたこと」を意識しながら、バットを振り込んだ。

 早速表れた効果に「いい打者は反応が早い。今日は前半戦の打撃を見ているようだった」とピネラ監督は大きくうなずく。監督自身もルーキー時代は打撃に悩んだ経験があるだけに、少しでも力になりたいという気持ちは強い。

 福留自身は「まだ(試合の中で)自分で思っていることができているかははっきりしない」と慎重な態度は崩さないが、打席で見せるスイングは明らかにシャープになっている。打撃の応急処置はしたくない。あくまでも少しずつ段階を踏みながら、「練習の中で(課題を)意識せずに(スイング)できるように」なることが一番だ。

 「守ることもそうですけど、やっぱりバットを持っている以上は打つことも必要でしょう」。最近は守備での貢献ばかりが話題にされていたが、中日時代は首位打者になった男だ。打者としてのプライドと信用を取り戻すべく、復活の道を歩み続ける。