人口11億人の大国インドから初のプロ野球選手が誕生した。パイレーツは24日、同国出身のリンク・シン(19)、ディネシュ・パテル両投手(20)とマイナー契約を結んだ。2人の「本職」は陸上のやり投げ。インドは野球のルーツにもつながるクリケット大国だが、野球は不毛の地。ただ秘めた才能と人材を求めて米国のスポーツ・マネジメント会社がスポンサーとなり、インドのテレビ番組「百万ドルの腕」で野球への挑戦者を募集したところ、約3万人もの応募があった。

 2人は番組の最終選考を突破し、5月に渡米。6カ月間、奪三振王ライアンらを教えたトム・ハウス氏の徹底指導を仰ぎ、6日に全30球団のスカウトの前で行われたトライアウトで、右腕のパテルは最速90マイル(約145キロ)を計測。シンは最速84マイル(約135キロ)にとどまったが、左腕と188センチの長身という将来性が買われた。

 2人には早くも、歴代最多本塁打ボンズ氏を顧客に持つジェフ・ボリス氏が代理人に付いた。同氏も「3、4年のマイナー経験があれば」とメジャー昇格に太鼓判。パ軍のハリントンGMは「彼らは6カ月の練習で多大な才能を開花させた。我々は彼らの夢の実現をお手伝いしたい」と、本格的なインド進出をにらんでいた。