<オリオールズ3-6マリナーズ>◇11日(日本時間12日)◇オリオールパーク

 【ボルティモア(米メリーランド州)=木崎英夫通信員】マリナーズ・イチロー外野手(35)が上原に貫禄(かんろく)勝ちした。左太もも故障から復帰したオリオールズ上原浩治投手(34)とメジャーで初めて対戦し右越え二塁打、右中間三塁打を放って圧倒した。3回の二塁打は上原の決め球のフォークをたたき、逆転勝ちの口火となった。この日の2安打で打率、安打数でリーグ1位をキープし、メジャー自己最多の40試合連続出塁にも並んだ。

 イチローはウイニングショットを仕留めた。3回の第2打席。カウント2-2から上原の真ん中に入ったフォークをとらえた。打球は右翼フェンスを直撃し二塁打になった。

 土砂降りの雨による27分間の中断直後の初球だった。「(上原は)自分のスタイルをガンガン貫いてくるタイプですから。打者としては受け身になるとやられる、強い意志を持っていかないとやられるタイプのピッチャーです」と相手の性格を読んでの一振り。1回の第1打席ではフォークを空振りし、最後は遊邪飛に倒れていた。相手に傾きかけた流れを、中断を使って自分のペースに引き寄せた。

 日本では公式戦での対戦はないが、06年第1回WBCで外野から上原の背中を見つめておりマウンド上での雰囲気は十分につかみ取っていた。イチローが情報をチームメートに伝えたかどうかは定かではないが、後続の2番ブランヤン、3番ベルトレも初球をとらえる連続安打で一気に逆転の3得点を演出した。

 また、5回の3打席目ではカウント2-0からの真っ向勝負を制した。内角高めの142キロ速球を右中間へはじき返す三塁打でねじ伏せた。上原に「自分の思った通りのボールでしたけど後でビデオで見たら芯でとらえられてました。完全に力負けです」と言わしめた。

 上原からの2本で打率を3割6分へ上げ、82安打もヒル(ブルージェイズ)と並んでリーグ1位を守った。

 上り調子のイチローは上原についてこう締めた。

 「まぁ生意気な後輩というとこではありますけどね。でも読売の色がやっぱり似合ってるよね。う~ん。ユニホームがよく似合ってる、あのカラーがね」。

 オリオールズは巨人と同じ黒とオレンジを基調にするが、配色は違う。メジャーで実績を積み上げることでそのユニホーム姿も自分のものへとなっていく。皮肉タップリに聞こえてもイチロー流の応援メッセージが込められていた。