<アスレチックス3-6マリナーズ>◇4日(日本時間5日)◇オークランドコロシアム

 【シアトル(米ワシントン州)=四竈衛、木崎英夫通信員】マリナーズのイチロー外野手(35)がメジャー通算1400試合のアスレチックス戦で5打数2安打1打点と活躍。メジャー通算2000安打まで4本、史上初の9年連続200安打まで9本と迫った。第2打席に外角高めのボール球を左前へ運ぶなど、イチローならではの技を披露。左ふくらはぎ痛から復帰後4試合連続安打、うち3試合はマルチ安打だ。マリナーズは4連勝で、貯金を今季最多の「8」とした。

 竹刀は持たずとも、イチローは剣士の気分でバットを振り下ろした。2回表2死一、二塁。カウント2-3から外角高めのボール球に対し、上から切りつけるかのように左前へ運んだ。構えた捕手が腰を浮かすほど、コースも高さも大きく外れていた。「授業で剣道を習いましたからねえ。行けるんじゃないかと。(メンとドーの)間じゃないですかね」。ジョーク交じりに振り返ったものの、人並み外れたバット操作は、「剣豪」さながらだった。

 直前に見逃した外角球をストライクと判定されたことで、自らのゾーンを拡大した。「どこまでも広げないとね。(バットが)届くなら安打にできる可能性は十分にありますからね」。ダッグアウトに戻ると、驚きの表情を見せるワカマツ監督に「今日の僕はゲレロ(エンゼルス)です」と解説。メジャー屈指の悪球打ちで知られる強打者に例えて、貴重な適時打を振り返った。

 第4打席にも三遊間をライナーで突破。左ふくらはぎ痛から復帰後4試合で3試合目となるマルチ安打をマークした。この日がメジャー通算1400試合目、1996安打を放ったことになる。守備では、打球を追うスピードが徐々に加速。走者としても、盗塁やタッチアップのタイミングを計るなど、全快時への下準備も着々と進んできた。「だって日に日に良くなってるから動きは良くなるよね。停滞、もしくは悪くならない限りはね」。この日は試合後にマッサージを行わず、早々とクラブハウスから退出。通常の生活リズムにも近づき始めた。

 依然として「慎重にというのは必要」と話すなど、患部への不安は消えていないものの、2つの大記録まであと1ケタに迫った。「打てば近くなるのは当たり前。ただ、1ケタになると一気に行きたい。そういう気持ちは生まれますよね」。周囲はカウントダウンを進めても、イチローにとっては「カウントアップ」。安打を積み上げる姿勢は、1996本打っても変わらない。【四竈衛】