マリナーズ・イチロー外野手(35)について、メジャーを代表するヒットマン、ヤンキースのデレク・ジーター内野手(35)が語った。イチローは今季195安打でア・ナ両リーグ通じてトップ、2位がジーターで183安打(6日現在)。ジーターは12シーズンで2000安打に到達したが、イチローは9シーズンで抜いた。互いに超一流だからこそ分かることがある。ジーターはイチローが「メジャー最多安打を更新するだろう」と“予言”した。

 「信じられないプレーを見せるし、信じられないヒットを放つ。彼には驚かされることばかりだよ」。ジーターは苦笑いしながらイチローについて話し始めた。

 イチローとジーター。ともにリードオフマンとしてチームを引っ張り、今季は両リーグ通じて安打数1位と2位。メジャー新記録となる9年連続200安打を狙うイチローだが、ジーターも14年連続となる150安打以上を記録している。ジーターだからこそ、安打を放ち続ける難しさを理解する。

 「内野安打が多いとか、単打しか打てないとか、批判するのは意味のないことだ。彼が安打を放ち、出塁することで相手チームに与える脅威は計り知れない。彼ほどのヒットマシンを僕は見たことはないよ」。

 メジャーには“イチローは怖くない。打たれても単打だけ”と批判する選手もいる。内野手はイチローに対して、通常よりも前進守備で対応することが多い。ジーターは違う。相手がイチローだからこそ、通常の守備位置で臨む。

 「イチローがゴロを打つと、足が速いだけに焦るよ(苦笑)。でも、彼だからといって守備位置を変えない」。そこには、イチローに対する敬意と、ジーターのプライドがある。

 ジーターの特徴は内角球に左手をたたんで、右手で押し込む。窮屈そうに見えるが、わざと打球を詰まらせ、時には真ん中の甘い球でさえも右方向へ打ち返す。イチローも外角の球にあえて逆回転を与え、左方向へ打ち返すことが多い。わざと詰まらせてヒットにする技術もある。1本の安打に、それぞれの技術が凝縮されている。

 「イチローが最も優れているのは走攻守、すべてが素晴らしいことだ。ストライクだけではなく、ボール球でも安打を放つ。守備範囲は広いし、肩も強い。足に関しては僕が語らなくても知っているだろ」。

 通算2718安打、現役選手で唯一、ピート・ローズのメジャー最多4256安打を更新する可能性があると言われるジーター。「でも(メジャー最多安打更新は)僕ではなく、イチローが更新するだろう」。そう言って笑った。