オリオールズ上原浩治投手(35)が12日、10年度予算概算要求のムダを洗い出す行政刷新会議の「事業仕分け」で、日本オリンピック委員会(JOC)の選手強化費を含むスポーツ予算が縮減と判定されたことに対して“もの言い”をつけた。「ただでさえ、日本の補助金は少ないんでしょ?

 もちろん、とんでもない無駄があれば削減しなければいけないけど、スポーツ界が衰退しないように考えてほしい。縮減を決めた人たちには分からないかもしれないけど、スポーツが衰退することは、日本のためにならない」と強い口調で訴えた。

 野球だけではなく、大のスポーツ観戦好きだけに、自らの持論を展開した。

 上原

 スポーツ界に活気がなくなれば、それだけスポーツをする人たちも少なくなるでしょう。そうなればいろいろな弊害が出てくる。トップでやれなくたって、スポーツをしたおかげで非行に走らなかったり、丈夫な体でいられる人は多いと思う。頑張って活躍した人に、勇気をもらうことだってある。補助金を減らしてどれぐらい影響があるかは分からないけど、世界的にみて優遇されていないんだから、寂しいことは言わないでほしい。

 メジャー入りし、米国での生活を体験し、アメリカンフットボールやバスケットなどにも興味を抱くようになった。「試合も見に行きましたよ。ファンも熱狂していたし、みんなが楽しんでいた。アメリカに比べ、日本は自由に遊べる公園なんかも少ないでしょ。スポーツが盛り上がるように、他にも改善するところはたくさんあるのに、減らすようじゃいけないでしょう」と理解を求めた。1日にはアテネ五輪アーチェリー銀メダリストの山本博(47)らトップアスリートが抗議会見を行った。2度の五輪出場など国際経験豊富な右腕は、野球界を代表して口を開いた形だ。

 帰国後は7日にトレーニングを再開させており、痛めていた右ひじの回復状態も良好だ。キャッチボールの距離も、徐々に延ばしていく予定。自らのコンディションも、スポーツ界を思う“上原節”も、アップしていた。【小島信行】