エンゼルスからFAとなった松井秀喜外野手(36)の来季所属先が2日(日本時間3日)、不透明な状況となってきた。先月中旬のGM会議ではホワイトソックス、アスレチックス、タイガースが獲得に興味を示し三つどもえの様相を呈していたが、各チームがそれぞれ補強を進めて来季の陣容が整ってきた。古巣エンゼルスも依然として再契約には消極的。絞られつつあった松井の進路はここにきて再び見えなくなってきた。

 松井の有力な所属先候補が次々とかすんでいく。「松井は獲得リストに入っている」と公言していたホワイトソックスがこの日、大砲補強に成功した。7年連続で38発以上をマークする左のアダム・ダン一塁手(31=ナショナルズFA)と4年5600万ドル(約45億円)の大型契約で合意。さらに左の捕手ピアジンスキーともFA残留で合意したとFOXスポーツが報じた。これでホ軍はFAコネルコ一塁手の引き留めに成功すればダンにDHを任せる方針で、DHと左打者でダブる松井獲得から大きく後退するのは避けられない。

 打線強化が課題のアスレチックスはこの日、今季主にDHを務めた左打者カストを来季保有選手とせずFAとした。ア軍公式ホームページはDH候補に松井の名を挙げたが、立場は交渉を優先するランス・バークマン一塁手(34=ヤンキースFA)の「保険」という扱い。ロッキーズとの争奪戦に敗れれば松井にシフトしてくる可能性があるとはいえ、まだ未契約のDHも多く予断を許さない。

 中軸を打てる打者として松井をリストアップしていたタイガースは、ビクター・マルティネス捕手(31=レッドソックスFA)と契約し、すでにDH候補を確保した。松井に興味を示していた球団はそれぞれ、別の方向を向きながら着々と補強を進めている。またエンゼルスはこの日、リーギンスGMが「松井に関する状況に変化はない。代理人と話はしていない」と依然として再契約には消極的であることを明言した。松井の来季への視界は晴れないままだ。

 6日からはフロリダ州レークブエナビスタでウインターミーティングが開幕する。30球団のGMや代理人が一堂に会し、移籍交渉のピークを迎える。他球団も含めた新たな動きが出てくる可能性があり、松井もそこでの動きを待つことになりそうだ。