【フェニックス(米アリゾナ州)11日(日本時間12日)=四竈衛】メッツ五十嵐亮太投手(31)が、メジャーのマウンドへの熱い思いを語った。3日にメジャーの試合出場条件となる40人の登録枠から外れ、現在はウエーバー公示されている状態ながらも、既にマイナーからの再スタートを決意。キャンプでの生存競争に向けて、2月上旬まで当地で続ける自主トレで、万全の状態に仕上げるプランを明かした。

 腹はくくった。13日のウエーバー公示明けまで処遇は定まらない。だが、五十嵐の心に陰りはなかった。「今は(メ軍の判断に)身を委ねるだけ。でも、どんな結果になろうと、その状態でベストを尽くすことに変わりはない。不安はありません」。昨年に続き、当地のトレーニング施設「アスリート・パフォーマンス」で、午前、午後の2部練習に集中する姿には、悲愴(ひそう)感以上に、反骨心が漂っていた。

 開幕をメジャーで迎えた1年目は、4月22日に故障者リスト入り。戸惑いと焦りから、気持ちと体が一致しないまま、シーズンを過ごした。「今思うと、完全に自分を見失ってしまい、自分のメンタル面の弱さを痛感した。自分が正しいと思うことに自信が持てず、アジャスト(適応)できなかったんです」。厳しい移動、寒暖の差のある遠征先、滑るボール…。事前に予想していても、いざマウンドに上がると、生命線のフォークが自在に操れず、自己不信に陥った。

 新年早々、メジャーの試合出場の条件となる40人の登録枠から外れたことも、淡々と受け入れた。昨季の成績は31試合に登板し、1勝1敗、防御率7・12。「客観的に見ても昨年の成績ではマイナー行きは仕方ない。ただ、自分に何が足りないかは分かりました」。フォークの精度を上げるために、徹底的にフォームを修正。強く深い握りに改良して落差を安定させた。

 ウエーバーで獲得球団がなければ、17日から始まるメ軍のキャンプには招待選手として参加する。既に変化球を交えた投球練習も開始。「キャンプで結果を残すためにも打者との勝負に集中するだけ。上がれるタイミングの時に備えたいです」。メジャーの厳しさを知った五十嵐の顔は、オフとは思えないほど、引き締まっていた。