【フォートマイヤーズ(米フロリダ州)16日(日本時間17日)=佐藤直子通信員】レッドソックス松坂大輔投手(30)が、キャンプイン後、初めてブルペンで投球練習を行い、首脳陣に好印象を与えた。捕手を座らせて40球。速球、変化球ともに安定した制球を披露した。ヤング新投手コーチは「1年戦える安定感を期待したい」と話し、条件つきで投球数制限を解除する方針を示した。

 正捕手サルタラマッキアの構えるミットに、次々とボールが吸い込まれた。スライダー、カット、チェンジアップ、速球。ヤング新投手コーチが初めてブルペン投球を見守る中、松坂はほぼすべての球を要求どおりの位置に放った。

 「自分の感覚、考えていることと、体のズレがどれだけあるのか確認しました」。100%の力ではないにしても、軽快に投げ込む姿は、けがに泣いた過去2年のキャンプとは比べものにならない。「思ったよりも制球がよかった」と自負する内容で、首脳陣に大きなインパクトを残した。

 昨季までアスレチックスに所属し、対戦相手として「スピードを自在に操る、制球力ある投手」と松坂を見ていたヤングコーチは、予想以上の仕上がりに大満足。「先発ローテーションの一角として、オープン戦では6試合に登板させたい」。今キャンプでは、ベケット、レスターら先発主力組ではなく、若手中心のグループに組み込まれている松坂だが、早くも主力の立場を奪い返した。

 さらに、大切なものを勝ち取った。他の投手たちには約30球の球数制限があったが、松坂には40球の例外が適用された。これまで、球数制限を含めた練習方法で、球団と妥協点を見いだせずにいたが、自主トレでしっかり体をつくり上げ、体力測定での数値も合格ラインをすべてクリアした今季は違う。

 「体が十分な強さを持ち、健康である限り、やりたいことをやってもらって構わない」(同投手コーチ)。管理の厳しいレ軍から異例の「自己流調整」のお墨付きももらった。それでも「僕の中では何も変わらない。やることは一緒」と心構えは変わらない。先発の座を争う挑戦者として、危機感を持ち続けていこうとしている。