<ホワイトソックス5-4アスレチックス>◇12日(日本時間13日)◇USセルラーフィールド

 【シカゴ(米イリノイ州)=広重竜太郎】アスレチックス松井秀喜外野手が37歳のバースデーゲームで、今季初の4試合連続打点を挙げた。4番DHで出場し、初回1死一、三塁で右翼への大きな先制犠飛を放った。2試合連続無安打に終わり、チームも惜敗したが、粘りの出てきた戦いぶりに手応えを感じた。試合前には大リーグでは珍しいシートノックで左翼の練習も敢行。交流戦での外野出場の準備も本格的に開始した。

 新たな年輪を重ねるように、打点をまた1つ加えた。初回1死一、三塁。松井は真ん中寄りに甘く入ったチェンジアップを右翼へ運ぶ。スタンドインまであと約3メートル。犠飛には十分な距離で今季初、09年7月以来となる4試合連続打点を稼いだ。「仕留め損なったというより、悪くないと思う。もちろんライナー性で強く打てれば一番よかったけど」。満点の打撃ではなかったが、一時期は角度のついた打球もなかなか出なかった。それを考えれば自然と表情も明るくなった。

 37歳の誕生日を迎えた。試合前、報道陣から巨大なケーキを贈られた。メルビン監督代行は監督室から、わざわざケーキが置いてある通路まで足を運び「37歳というより27歳に見えるよ」と笑顔で祝福した。

 松井もいろんな人と同様に老いを感じている。昔、読んだ本の名前を思い出せなかったり、子供のころにうれしかった誕生日プレゼントを聞かれても「覚えてないんだよ」と言う。過去の本塁打は状況、相手などほとんど覚えており、野球に関する記憶力はずばぬけているが、日常的なことは忘れがちだ。ただ、それはそれでいいと感じる。「肉体的にも変化はある。でもずっと若くいたいとは思わない。無理してインチキして若くしてもしょうがないから。年相応にね」と堂々と年を積み重ねている。

 試合前にはシートノックを左翼で受けた。チームはこの日も含め、メジャー30チーム中26位の51失策。大リーグ球団では珍しく、試合前のシートノックを定期的に行うことにした。21日からはDH制のない敵地での交流戦6連戦を控える。外野起用が検討されている松井にとっても貴重な練習機会だが「入れと言われたので入っただけです」と冷静だった。だが、外野から本塁への送球もテストし「肩が飛びそうでした。1カ月ぶりぐらいに思い切り(右肩を)振ったので、明日が怖い(笑い)」と口も軽やか。37歳になったゴジラ松井は日々、刺激を受けて、白球を追いかける。