日本ハム・ダルビッシュ有投手(25)が今日8日にも来季のメジャー挑戦を表明することが7日、分かった。ポスティングシステム(入札制度)を行使して移籍を目指すことを、初めて自ら明らかにする。球団も意向を受け、承認することは確実。落札球団の提示条件次第で残留する可能性を残してはいるが、今オフの日米球界ストーブリーグの目玉が、ようやく進路を決断。大争奪戦が幕を開ける。

 日本球界の至宝が、ついに腹を決めた。ダルビッシュが、自ら去就騒動にケジメをつける。ポスティングでのメジャー移籍か、日本ハム残留か-。2択から選んだのは、かねての夢だった本場・米球界への挑戦だった。動向が注目されていた昨オフから沈黙を守り続けてきたが、今日にも胸中を明かす見込み。公式ブログ、書面などの発信ツールで、自身の言葉で公表するとみられる。

 昨オフも移籍を目指す可能性があったが、球団への強い愛着などの諸事情を考慮して見送っていた。ここ5年間でワースト12勝で、チームも5年ぶりBクラス。エースとしての責任感が、残留を選んだ背景にあったもようだ。今季は2年ぶりリーグ優勝は逃したがシーズン最多18勝を挙げ、終盤までソフトバンクと優勝争いをした。そんな総合的判断で、新たなステージへ向かう気持ちの整理がついた。

 ダルビッシュ側は万全の構えで、新天地を模索していく。代理人は敏腕で知られるアーン・テレム氏(57)。アスレチックスFAの松井を担当し、日本人選手が活躍するために必要かつ希望する契約内容、細部の条件に精通している。ダルビッシュの父ファルサさんとは旧知の仲で意思疎通もできており、心強い後押しを受けられる。今後、球団側へ正式に申し入れ、申請手続きをとる。

 日本ハムは在籍7年で日本一1度を含む3度のリーグ制覇に貢献した功績もくみ、ダルビッシュの意向を尊重し、承認方針。メジャー挑戦の強い思いに理解を示し、後押しする。球団幹部はこの日、「まだ正式に、こちらはどうするか話を聞いていない。リーグ優勝を狙う来季、栗山新監督にとっても欠かせない戦力」と話すにとどめた。近日中に、球団の考えも表明する。

 ポスティング制度は移籍先が選択できないため、昨オフの楽天岩隈のように取りやめも選択肢に入れている。年俸など金銭条件面などで折り合いがつかなければ、来季も日本ハムでプレーすることも視野に入れているが、球団も含め、米移籍が大前提の最終決断。ヤンキース、レンジャーズの名門、強豪をはじめ、複数球団が入札濃厚とみられている。

 ◆ポスティングシステム(入札制度)

 海外FA権を持たない選手が所属球団の承認を得て米大リーグ移籍を希望した場合、交渉権を米球団が入札で獲得する制度。入札最高額を所属球団が了承すれば、30日間の独占交渉権が発生する。98年に明文化された。適用期間は11月1日から翌年3月1日まで。決裂した場合は翌年11月まで同制度での移籍はできなくなる。