<ツインズ2-6レンジャーズ>◇14日(日本時間15日)◇ターゲットフィールド

 レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が、またメジャーの洗礼を受けた。2試合目の先発となったツインズ戦で6回途中9安打2失点(自責1)で降板し勝敗はつかなかった。初登板初勝利したデビュー戦に続いて、先発投手の評価の指標となるクオリティー・スタート(QS=先発6イニング以上、自責点3以下)をクリアできなかった。成功のカギであるメジャーの適応に苦慮している。

 泥まみれになってアウト1つに執着した。ダルビッシュが、ホームベース付近で転がった。4回2死一、三塁。捕手ナポリがボールをそらすと、マウンドを猛ダッシュで駆け下りた。ナポリの返球を受け、身を投げ出した。「とりあえずボールを捕ればアウトになると思った」。ヘッドスライディングする三塁走者と交錯しながらも、タッチした。判定はアウト。本能が出た、もがく現状の象徴だった。

 観念して志半ばでマウンドを降りた。1点リードの6回。同点とされて、なおも2死二塁から死球、四球と乱れた。この日3度目の満塁のピンチを招き、降板が決まった。黒星はつかなかったが、事実上のKO。強がりを見せつつ、真っすぐな胸の内も明かした。

 ダルビッシュ

 やっぱり回の途中で降りるっていうのは、気持ちいいもんじゃないですし、後ろの投手にすごく迷惑を掛けることなので、悔しいなあとは思ってましたけれど。

 環境変化への適応の難しさを、改めて痛感した。先制点をもらった直後の2回、2死を奪った後に連打で一、三塁。チームリーダーの三塁手ヤングの失策で追いつかれた。自責点はつかないが、堅守の日本ハム時代には、あまり経験したことがないような失点。昨季達成した2リーグ制後初となる5年連続の防御率1点台という快挙を支えてくれたバックとの違いに戸惑い、少しリズムを崩した。降板した6回も先頭打者の打球をヤングがはじいた安打から乱れた。

 ダルビッシュ

 チーム、環境にとけ込むのに時間がかかる。同じ日本じゃないってのもある。捕手とのコミュニケーションもある。これで日本と同じような防御率1点台だったら天才でしょ。

 ワインドアップからノーワインドアップに投法を変え、軸足のプレートの位置も一塁側から、日本時代と同じ三塁側へ戻した。QSに達しないながらも2試合の経験で収穫もつかんだ。

 親交が深い、日本ハムの先輩八木にメールで、当初の見込みとの違いを明かしている。「メジャーの打者は日本に来てる打者と全然違う。パワーがあるだけじゃなくて打ち損じもほとんどない」。そんなギャップを埋める作業に、これから本腰を入れる。長い戦いの始まりで成功へのヒントになる壁に、まずはぶつかった。【高山通史】