<ヤンキース6-0ブルージェイズ>◇18日(日本時間19日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース黒田博樹投手(37)が、ブルージェイズ戦で日本投手3人目のメジャー通算50勝を達成した。切れのあるスプリットを武器に攻め込み、7回を4安打無失点で5奪三振、無四球。試合は7回裏無死で降雨コールドゲームとなり、4年ぶり3度目の完封勝利というおまけつき。派手さはないが、粘り強く安定感のある投球で、メジャー5年目で野茂英雄(123勝)大家友和(51勝)に次ぐ節目の記録に到達した。

 黒田らしさが光る投球だった。5月に敵地で対戦した際、5回0/3を投げ7失点と打ちのめされた同地区のブルージェイズが相手。「アグレッシブにどんどん攻めていこう」と内角を突いた。シンカー、スプリット、スライダーで、打者の視線を横方向へ揺さぶって節目に到達。だが、「50勝するために来たわけじゃない。それに浸っている余裕もない」と自己評価は厳しかった。

 楽しみながらプレーすると話す選手もいるが、黒田は「そんなん楽しいわけないでしょ」と言う。昨年までドジャースでは投球内容と勝ち星が比例しない日々が続いた。「勝利数は少なくても、防御率や投球内容を、必ず評価してくれる人がいる」。気持ちを切らずに投げ続けた結果が、名門入団へとつながった。

 常勝軍団の一員となっても、毎回「これが最後の登板になってもいい」と覚悟を決めて登板。雷雨でコールドゲームとなったこの日も、「マウンド上に雷が落ちたら仕方ない。そのくらいの気持ちでやらないと」と、全身全霊をささげての勝利だった。

 「長くやってれば結果的についてくるかな、という感じ。それは野球人生が終わってからいろいろ考えたいと思います」。覚悟を背にしたマウンドでこれからも勝利を積み重ねていく。【佐藤直子通信員】