【ニューヨーク5月30日(日本時間同31日)=水次祥子】ゴジラはピンストライプのユニホームで現役を終える。ヤンキースは、同球団OBで09年のワールドシリーズ制覇などに貢献した松井秀喜氏(38)の引退記念式典を、7月28日(日本時間同29日)にヤンキースタジアムで行うと発表。同氏は1日限定のマイナー契約を結び、当日は55番のユニホームで始球式などのセレモニーを行うとみられる。試合での相手は昨季所属したレイズだが、ヤンキースの一員として最後の花道を飾る。

 松井氏が永遠のヤンキーになる。ヤンキースが同氏の引退記念式典を7月28日にヤンキースタジアムで行うと発表。1日限定のマイナー契約を結び、現役をヤ軍で終えることになる。代名詞だった背番号55にちなみ、同軍今季日程で55試合目のホームゲームにあたるレイズ戦が開催日に選ばれた。

 55番のピンストライプに再び袖を通す。球団広報は「始球式をするか分からないが、恐らく可能性は高いと思う。ユニホームは現在チームに55番の選手(オーバーベイ)がいても、セレモニーで55番は着られる。試合中にベンチに入ったりすることはないからね」と説明。始球式などを行った後、両親とスイート席で試合観戦する予定となっている。

 ニューヨークにとっても特別な選手だった。同氏は03年に巨人からFAでヤ軍に入団し、09年まで7年間プレー。09年にはワールドシリーズで最優秀選手(MVP)に選ばれた。1日契約は、デビューしたチームでキャリアを終えるという米国伝統の美学に沿ってのこと。引退後、松井氏はメディアなどで「元レイズ」と表記されているが、1日契約を終えれば「元ヤンキース」となる。

 ヤ軍での個人記録では、同氏を上回る選手は数多くいる。なぜ特権が与えられるのか。09年に頂点に導いた指揮官が、理由を解き明かした。

 ジラルディ監督

 彼は引退セレモニーをやってもらうに値する存在。素晴らしい選手で、素晴らしい同僚だった。膝に故障を抱えていてもヤンキースのために常に努力していた。09年のワールドシリーズを思い返すと、どれほど大きな存在だったか。チームの誰もが、彼は素晴らしいチームメートだったと言うと思うし、みんな引退セレモニーを楽しみにしていると思う。

 ヤ軍はベーブ・ルース、ジョー・ディマジオら往年の名選手も解雇する非情な歴史を持つ。今回の決定は、松井氏の黙々と戦い、紳士的な人柄をたたえている証しとなった。当日は先着1万8000人の来場者に同氏の特製人形がプレゼントされる。7月最後の日曜日、ヤンキースタジアムが松井色に染まる。

 ◆1日契約(ワンデー・コントラクト)

 第1号はヤンキース。ファンサービスの一環で、08年に当時60歳の喜劇俳優ビリー・クリスタルと契約。オープン戦の1打席に立たせた(結果は三振)ことが発端となりメジャーに広まった。移籍が多いため、引退した選手にセレモニーを実施するケースが多い。過去の例にレッドソックスがガルシアパーラに、マーリンズがコーナインに、マリナーズがキャメロンに花道を用意した。