<ヤンキース3-0カブス>◇第1試合◇16日(日本時間17日)◇ヤンキースタジアム

 ヤンキース田中将大投手(25)が、本拠地ヤンキースタジアムで初白星を挙げた。2勝目はカブス打線に三塁を踏ませず、8回を1四球、安打はバント安打の2本のみ。最多107球を投げ、3戦目で初の無失点投球だった。2試合連続の2ケタ奪三振もマークし、日本時代から続くレギュラーシーズン連勝は「30」の大台に到達した。次回登板は22日(同23日)ボストンで、宿敵レッドソックスと伝統の一戦になる見込み。

 まるで靴ひもまで、メジャーの球数制限に適応したかのようだった。ラスト1球、106球目を投げ終えると、田中は右の靴ひもがほどけていることに気付いた。初めての8回。2者連続で三振を奪い、ベーカーも2球で追い込んだところで、マウンドで靴を整えた。うずくまるヒーローの背中に、ヤンキースタジアムの360度から三振を求める歓声と拍手が降り注いだ。

 田中

 いつもほどけないのに。「うわ、ちょっと、ここでほどけるのかな」と思って。この声援、視線があるのに。靴ひも結んでいて、いいのかなと思いながら、悪い気をしながら結びました。

 恐縮する田中の思いと裏腹にその間、球場は盛り上がりを増した。107球目。スプリットで、かすらせるだけの捕ゴロに仕留めた。「本物」の投球だった。

 8回を2安打。カブスを圧倒した。安打はともに奇襲のバント内野安打。7回は3番リゾが初球をバント。しかもヤンキース内野陣が左打者用シフトを敷き、野手を配置しない三塁に転がした。田中は「確率ですから。チームの決めごとですので」と面食らうことなく受け止めたように、本塁打と打点で昨季チーム2冠のなりふり構わない戦法でも、投球を乱すことはなかった。

 2回のバント安打は、1度はアウトの判定だったが、カ軍がチャレンジ(ビデオ判定)を要求してセーフに覆ったもの。試合中の体感気温4度という酷な条件だったが、外野に飛んだ安打はなく、二塁に走者を置いたのも2度だけだった。

 8回を無失点。これまでの2試合は3回までに失点した。「序盤に弱点」というレッテルは御免とばかり、3試合目できっちり修正した。力みのないフォームから、低めに集めた。ストライク率は71%と高く、直球が安定し、変化球にも好影響を及ぼした。「今までの登板より、スプリットがコントロールできたかな。今まで2戦が悪すぎたので、2戦に比べれば良かったかな」と振り返った。

 公式戦は足かけ3年で日米30連勝に到達。自身の記録には関心を示さない田中だが、「2戦の登板を繰り返したから出来た」と、経験を糧とし、着実に前に進んでいる実感はある。「まだ甘いボールはあったので、厳しく投げられないと。より良いものを求めてやっていきたい」。田中の向上心にゴールはない。【金子航】<田中記録アラカルト>

 ▼3戦28K

 10三振を奪い、ここまでの3戦で計28三振。87年に左腕アル・ライターがマークした25を上回り、メジャーデビューから3試合での奪三振数で球団史上最多。2試合目までの計18三振も同最多だった。メジャーでは10年スティーブン・ストラスバーグ(ナショナルズ)の32、71年J・R・リチャード(アストロズ)の29に次ぐ歴代3位タイ。

 ▼連続2ケタK

 ヤ軍の新人が2試合連続で2ケタ奪三振をマークしたのは球団史上初。

 ▼連続8K以上

 デビュー戦から3試合連続で8三振以上は、ストラスバーグの4戦に次ぎ史上2人目。

 ▼8回2安打以下10K

 8回以上投げて2安打以下で10三振以上を奪ったのは、ヤ軍では05年7月26日のレッドソックス戦でランディ・ジョンソンが8回2安打、11三振を記録して以来。

 ◆日米通算30連勝

 田中は12年8月26日の日本ハム戦から、日米公式戦で30連勝。日本では昨季まで28連勝をマークし、51~52年松田清(巨人)と57年稲尾和久(西鉄)が保持していた連続シーズンを含むプロ野球記録(各20連勝)を更新した。大リーグの連続シーズン最長記録と比べても、36~37年カール・ハッベル(ジャイアンツ)の24連勝をすでに上回っている。