<ア優勝シリーズ:レンジャーズ6-1ヤンキース>◇第6戦◇22日(日本時間23日)◇レンジャーズボールパーク

 【アーリントン(米テキサス州)=大塚仁】レンジャーズが4勝2敗でヤンキースを破り、球団初のリーグ優勝とワールドシリーズ進出を決めた。第6戦は投打がかみ合い6-1で快勝。これまで3度出場した地区シリーズですべてはね返されてきたヤ軍の壁をついに破った。開幕前の麻薬問題を乗り越えたワシントン監督の下、若手とベテランがかみ合い一丸となったチームが歴史をつくった。

 最後のアウトをロドリゲスから奪い、テキサスの悲願は成就した。マウンドにできた歓喜の輪に3打点のゲレロが頭から突っ込む。シリーズMVPのハミルトンは「このチームとこの街にとても興奮している。史上初なんだから。大興奮だ」とまくし立てた。球団創立50年目、テキサスに本拠地を構えてから39年目で初のリーグ優勝。大型ビジョンには「HELLO

 WORLD

 SERIES」の文字が躍った。

 最後の地区優勝及びポストシーズン進出は99年。低迷打破を目指す開幕前の球団を襲ったのはワシントン監督の麻薬問題だった。昨年7月の薬物検査でのコカイン陽性反応が発覚。現役時代にマリフアナと興奮剤アンフェタミンを使用していたことも認め、3月に連日の謝罪会見を行った。辞意を伝えた同監督をライアン球団社長兼CEOが慰留。選手の自主性を重んじ、共に戦うことのできる同監督に託した。「素晴らしい気分。2月から厳しいトレーニングを積んできた成果を見せられた」と同監督は涙ながらに語った。

 チームは一丸となった。象徴となったのは「クロー&アントラー」と呼ばれる2種類のポーズ。鳥獣類のかぎづめを表すクローは、安打を放った選手がベンチに向かって行いパワーをこれでもかと誇示した。スピードを表すアントラー(シカ)は盗塁を決めた選手が両手を角のように掲げ、機動力を生かすチームを盛り上げた。5回2死一、三塁で中越え決勝2点二塁打を放ったゲレロはベース上でクローのポーズで感情を爆発させ、続くクルーズの試合を決める2ランを呼んだ。盛り上がる勢いは昨季王者も止められなかった。

 監督と同じく麻薬中毒から立ち直った経験を持つハミルトンは「彼は信じられない監督。誠実で偉大なコーチであり、常に我々を勇気づける」と感謝を口にした。多額の負債を抱えて競売にかけられたチームをライアン球団社長らが落札したのが8月。さまざまな苦難を乗り越えてひとつになった集団が、頂上決戦へとコマを進めた。