巨人が最も恐れていた事態が起きてしまった。1回2死二塁、適時二塁打を放った阿部慎之助内野手(36)が、走塁時に左太もも裏を負傷。そのままベンチに退き、試合中に宿舎へと引き揚げた。今日18日に検査を受けるが、出場選手登録を外れる。チームは難敵の阪神メッセンジャーを攻略し、今季最多の5連勝で貯金2。一丸で危機を乗り越える。

 喜ぶはずの二塁ベース上で阿部は顔をしかめ、タイムを要求した。阪神メッセンジャーの立ち上がりを攻め、2点目の適時打を放った1回2死。右翼線への当たりに一塁を回った地点で、大きく減速した。ベンチに戻って間を置かず、代走小林がコールされた。球団の発表は「左ハムストリングス(太もも裏)に異常を感じた」だった。

 アイシング治療を行い、4回途中で宿舎へ戻った。「見てたでしょ。まだ、分からないけど。明日、検査してからですね」と話した。足を引きずることはなかったが、手すりを使いながら階段を上った。急速にスピードを緩めた様子、左足をかばうしぐさから、筋肉を痛めた可能性が高い。

 18日に検査を受ける。阿部は痛みに強く、一般的な故障の全治期間より早く復帰するケースが多い。現在、相川と大田が太ももの肉離れで離脱している。2人は1カ月程度の離脱を余儀なくされているが、症状は比較すれば軽いとみられる。ただ、阿部は最も代わりのきかない選手であり、たとえ短期でも故障離脱は痛い。

 一塁に転向して臨んだ今季は、開幕して7試合目、3日の阪神戦(東京ドーム)で本職の捕手に戻った。相川の故障、小林の力量などを総合的に判断しての復帰だった。キャンプから捕手の練習を行ってこなかったが経験値でカバー。負担が増す格好となっても「半年くらいやってなかったんですけど、できるものですねぇ。でも、体がバッキバキです。背面の全部が張っている感じで」と、いつもの陽気さで笑い飛ばし、元気に出場を続けてきた。

 マスクをかぶった時期と比例して投手陣も安定。水を得た魚のごとく、自身の打撃も上向き、3割3分3厘とチームトップの成績を残している。攻守の両面から、用兵の再考を余儀なくされる。監督代行を務める川相ヘッドコーチは「まだ分からない。調子が上がっていたので残念」と心配。「打線も少しずつ上昇している。投手陣も最少失点できている。粘りに粘って戦いたい」と全員でのカバーを強調した。5連勝で貯金2。今季、初めて訪れた上げ潮に乗ってピンチをしのぐ。【宮下敬至】

 ◆巨人の捕手事情 加藤が今日18日、チームに合流する。阿部が出場選手登録を外れる事態となれば実松、小林とともに捕手3人制となる。加藤と実松は経験が豊富で、過去にも阿部の有事の際には、キッチリ仕事をこなしている。3人とも打線の中軸に入る可能性は低く、投手のタイプ、バッテリーを組んだ回数、相性などを総合的に判断して、柔軟に起用となりそうだ。