ソフトバンク摂津正投手(32)が、突然の変調で試合を壊した。2点ビハインドの6回裏2死から井口を四球で歩かせると、続く田村の打球を今宮が悪送球(記録は失策)。ピンチ拡大で、摂津は粘れなかった。満塁で1番荻野に三塁打を許した。その後もアウト1つが取れず、この回途中で降板。8失点は11年7月17日ロッテ戦以来の自身ワーストタイ。センターからホームに10メートルの強風が吹く悪条件で、制球が定まらなかったのか。「どうかな…。まあ関係ないでしょ」。今季2敗目を喫した右腕は口数少なく、帰りのバスに乗り込んだ。

 開幕から前回まで3度の登板はすべて7回以上を投げ、3点以内に抑えていた。本来の安定感を取り戻しつつある状況での大炎上。工藤監督は右腕に「エース道」を説いた。

 「エラーした後に踏ん張れば、野手も打つ方で何とかしようと思う。あそこは踏ん張ってほしかった。次、そういうことが起こった時に、そうならないようにしてほしい」

 昨年は右肩の調子が悪く、先発転向後では最少の10勝に終わった。摂津の復活なくして、日本一連覇はない。工藤監督はその思いで、4年連続の開幕投手に指名している。

 「ずっといいことは続かない。悪い時のほうが多い。そこでどうするかが、エースには大事だ。繰り返さないようにしてほしい」

 期待しているからこそ、求めるものは高い。エースに次戦の奮起を促した。【田口真一郎】