阪神呉昇桓投手(32)はドタバタの6セーブ目に照れ笑いだ。「グラブはもともと使っていたものなので、自分がバカなことをしました。自分が失敗しただけです」。報道陣を笑わせながら振り返ったのは、1点リードの9回だ。その初球、先頭の4番坂本を外角カットボールでボテボテの投ゴロに打ち取った。難なく1アウトかと思いきや、打球をグラブで空振り。まさかの失策で無死一塁とされた。

 続く5番井端は内角147キロ直球で押し込み、バントを打ち上げさせた。一塁線への小飛球をキャッチするはずが、今度ははじいてしまう。捕手藤井が転がったボールを冷静に対処して二塁に送球し、なんとか1死一塁で持ち直した。マウンドに駆けつけた中西投手コーチから「ドタバタしている。ゆっくりでいいぞ」と指摘されて苦笑い。ここから6番長野を遊ゴロ、途中出場の中井を左飛に仕留め、最後は冷静に試合を締めた。

 「結果的に抑えられて良かった。次からはこういうプレーがないように気をつけたい。(真っすぐは)開幕時に比べて良くなっている」。これで5試合連続無失点。6セーブでリーグ最多に並んだ。珍しく感情豊かなマウンドさばきとなったが、次回は再び「石仏」に戻る。【佐井陽介】