ひっくり返す力がある! DeNAが今季初の3点差以上での逆転勝利で4連勝をもぎとった。2回までに3点を先制されたが、石川雄洋内野手(28)、梶谷隆幸外野手(26)の攻守にわたる好プレーで主導権を奪い返した。今季2度目の4連勝で再び、貯金生活に突入。今季のDeNAの「戦いざま」を超満員のファンに見せつけた。

 泥くさく、勝機を呼び込んだ。1点を追う4回2死、二塁手・石川が中日若松の一、二塁間への打球に体を投げ出して飛びついた。かろうじてグラブに入れると、顔面をグラウンドに押しつけながら一塁へ転送。元キャプテンのビッグプレーで二ゴロに仕留めた。「なるべく1点でも少なくという意識だけ。そうすれば、必ずチャンスがある。あのプレーは必然的というよりは、流れの中でのプレーで勢いが出た」と勝負への執念を体現した。

 流れの中で…。そのワンプレー前にも序章があった。同1死、右翼手・梶谷が桂の右前への打球に全速力でチャージし、地面すれすれのところでスライディングキャッチ。梶谷は「ただ、走って捕っただけです」と謙遜したが、試合の中でチームに流れを引き寄せるきっかけをつくった。

 守備のリズムは必然的に攻撃へと乗り移った。同点で迎えた6回だった。先頭の石川が中前打で出塁し、チャンスメークすると、犠打で1死二塁に好機を拡大。打席に入った梶谷は「いけそうな気がした。今日は(ここで)決めたいなと思った」。中日2番手岡田の外角球に食らいつき左翼線を破る、決勝の適時二塁打で石川を本塁に迎え入れた。「(打球が)切れるかなと思ったんですけどね」とヒーローは照れくさそうに笑った。

 ゴールデンウイークに詰めかけた2万8000人を超える大観衆も、指揮官も納得の逆転劇だった。中畑清監督(61)は「みんなでカバーするプレーが良かった。今日の試合内容は評価したい。チーム力が上がってきたことを証明してくれた」と絶賛した。最大3まで膨らんだ借金返済を終えたどころか、白星先行で貯金1を積み上げた。今季初の5連勝を視界に捉えるDeNAに「本物の強さ」が浸透してきた。【為田聡史】