甲子園が大歓声に包まれた。阪神松田遼馬投手(21)の登場に勝利を予感させた。松田はリリーフカーを降りると、マウンドへ一直線に駆けだした。

 「どこでいってもいいように準備はしているので。行けと言われたところで結果を出すだけです」

 1-1の同点に追いついた直後の6回に出番が来た。1死から西岡の失策で出塁を許したが、力強い直球で後続をシャットアウトした。イニングもまたぎ1回2/3を無安打無失点。今季2つ目のホールドを挙げた。今季3勝を挙げる男が、甲子園の空気を一気に変えた。

 18日巨人戦(甲子園)の試合前練習で、中西投手コーチと福原による青空教室が行われていた。松田は投げる横から、後ろから、捕手の後ろから隅々チェックを受けた。松田がオフから新たな勝負球として磨き上げてきたが、なかなか思い通りに投げることができていなかったフォークの修正だった。

 ランニングメニューを終えた藤浪も参戦。右打者役を買って出た。高宮も練習の足を止めて「俺はフォークは抜く意識で投げているよ。リストを使ってね」とアドバイスを送った。時には福原が投じてみせた。その動きを松田は1つも見逃さないように、ジッと見つめていた。次から次へと松田の周りにはアドバイザーが集まっていった。

 その次の日も青空教室は行われた。松田は「キャンプの時からいろんな人からいろんなことを教えてもらった。知らないことも多くて、自分の投球に幅が広がる。ありがたいですね」と頭を下げた。若き中継ぎ右腕にはたくさんの情熱が注がれている。

 チームメートから、首脳陣から、そしてファンから期待されている。その期待に応え1日、また1日と成長していく。あすは新たなリョウマがマウンドに上がる。【宮崎えり子】