ロビンソン・カジが決めた。DeNA梶谷隆幸外野手(26)が中日9回戦(ナゴヤドーム)で先制アーチに決勝打と、3打点の活躍。リーグ単独トップの7度目の勝利打点で、チームを3カード連続の勝ち越しに導いた。広島、名古屋と続いた遠征も4勝2敗と白星先行で乗り切った。開幕から不動の3番に座る男が、打線をけん引する。

 天敵を打ち砕いた。同点で迎えた8回1死二塁。梶谷は中日又吉の高めのスライダーをコンパクトに振り抜いた。前進守備の右中間を破る決勝の適時三塁打。昨季から10打数無安打に抑え込まれてきた右腕からの一打に「真っすぐを狙いながら、大振りしないように意識してました。去年、今年と全く打ててなかったので、やり返せてよかった」とほっとした表情をみせた。

 前夜は9回2死無走者から逆転勝利を飾ったが、無安打。「自分は活躍出来なかったので、今日は何とかしたいな、という気持ちはあった」と気合を入れ直して臨んだ一戦だった。その第1打席に3試合ぶりの安打となる先制の2号2ラン。「先頭切って打てたかな」とチームだけでなく、自分自身も波に乗せた。

 開幕から31試合、3番を託される。肉体だけでなく、目に見えない重圧による精神的な疲れもたまっている。「まだ(開幕から)1カ月ですけど、去年と疲れ方は全然違いますね」と明かした。少しでもコンディションを整えるため、今季は遠征中も外食を控えている。宿舎のバランスのいい食事をとり、部屋でリラックスするようになった。

 そんな時、動画サイトで見るのがメジャーリーグ映像だ。ロビンソン・カノ(マリナーズ)の打撃フォームを2時間以上もかけて研究した。打席で立てていたバットを「カノを意識して寝かしてるんです。しっくりきてます」と手応え。まねた理由は「かっこいいじゃないですか! ロビンソン・カジです」と笑うが、いいと思ったものは何でも取り入れる貪欲さも、今季の好成績につながっている。

 初めて140試合以上出場した昨季学んだ体調維持の難しさ。その経験があるから、「私生活も意識改革しないといけない」と言える。自覚が芽生えたことで生まれたロビンソン・カジ。不動の3番としてシーズンを戦い抜く。【佐竹実】

 ◆ロビンソン・カノ 1982年10月22日、ドミニカ共和国生まれ。強打の二塁手。01年ヤンキースと契約し、05年メジャーに昇格。松井秀喜ともプレーをした。13年オフに10年総額2億4000万ドルの大型契約でマリナーズにFA移籍。183センチ、95キロ。右投げ左打ち。