「番長」の勝負根性でトップを奪った。ヤクルト戦に先発したDeNA三浦大輔投手(41)が6回を7安打3失点。今季初登板を白星で飾り、93年のプロ2年目から23年連続勝利でプロ野球記録に並んだ。ベテランの力投に打線も強力援護。一時はヤクルトに逆転を許したが、三浦に代打を送った6回に再逆転し、今季3度目の4連勝で単独首位に浮上した。貯金も07年7月以来の「5」に増やした。

 全身から緊張感をみなぎらせた。24年目のベテラン三浦が今季初の1軍マウンドに上がった。「この緊張感を求めてやってきた」。今季最多2万8960人の超満員で膨れあがった本拠地観衆の視線を独占した。6回を3失点、気迫を込めた111球で勝利投手をつかんだ。お立ち台からの景色に「最高です!」と絶叫し、「開幕からテレビでしか見ていなかった。早く、あの輪の中に入りたいと思っていた。勝ちまでつけてもらって言うことがない」と自然とほおが緩んだ。

 プロ2年目から毎年、白星を重ねてきた。プロ入り当時の大洋から、横浜、DeNAと「横浜一筋」で歩んできた道のりで、167勝目を挙げた。この日でプロ野球記録タイとなる23年連続勝利の快挙にも到達。チーム最年長の大投手は「1つも自分で勝っていない。みんなに勝たせてもらっている。感謝しかない」と、歴代の先輩、ともに戦う後輩たちに頭を下げた。

 おごることのない謙虚な姿勢が野球人生を支えている。開幕直前に、先発ローテ入りがかなわず2軍スタートを通達された。投手コーチを兼任して2年目。「客観的に自分を見れば、誰がローテに入るか分かる。自分の役割はどうすればいいかおのずと分かる。そこに向けてやるだけ」と不平も不満も一切、口にしなかった。必要とされるための準備だけを続けた。

 「ハマの番長」の愛称で親しまれ“ちょい悪オヤジ”をほうふつさせるリーゼントヘアがトレードマーク。高校時代は“ちょい悪”では収まらない、やんちゃ盛りの時代もあった。「高1の時は丸刈りにそり込みを入れて遊び倒していた」と鮮明な記憶として残る。同時に「周りからの信頼が全部なくなった。そこからだよ。真面目にやらないとダメだなと」と若き日の教訓が、頼もしく優しい「番長」の根源にある。

 まさに大黒柱の力投で、チームも巨人をかわし首位に浮上した。中畑監督は「大輔にとっても大事な試合。なんとか白星をつけたいとみんなが1つになった」と手放しで喜んだ。今季最多の貯金を5に積み上げ、躍進は続く。「慣れない世界に入ってきちゃったな。7連敗をするチームなんだから。気をつけた方がいいよ。ふんどしを締め直さないとな」。それでもてっぺんからの景色は、視界良好だった。【為田聡史】

 ▼DeNAが4連勝で4月13日以来の首位に立った。DeNAの貯金5は07年7月25日以来で、中畑監督にとっては最多貯金だ。5月以降の首位は07年5月3日以来だが、この時は26試合目。今季は33試合目で、33試合以上消化して首位は、優勝した98年以来、17年ぶりになる。

 ▼三浦が今季初登板を白星で飾り、プロ2年目の93年から23年連続勝利。85~07年工藤(横浜)88~10年山本昌(中日)に並ぶ連続シーズン勝利のプロ野球記録となり、右投手では56~77年米田(近鉄)の22年連続を抜いて新記録だ。本拠地の横浜スタジアムでは通算81勝目だが、この球場でも93年から23年続けて白星をマーク。同一球場で23年連続勝利は、横浜スタジアムの三浦しかない。