ソフトバンクをたたいて首位再浮上だ。日本ハムが5-5で迎えた9回1死一塁から、西川遥輝内野手(23)の適時二塁打で今季2度目のサヨナラ勝ちを飾った。2点を追う8回には主砲中田翔内野手(26)が同点の15号2ラン。先発大谷が7回途中KOされた首位攻防第1ラウンドで打線が奮起した。

 クールなリードオフマンも感情を爆発させた。9回1死一塁。西川の打球は、ファンの大歓声とともにグングン伸びた。左翼フェンスを直撃し、一塁走者の杉谷が生還。二塁に到達したヒーローは、両手を上げて跳びはねた。前夜の悔しさを晴らした。「最後は良くなかったので、狙った一打でした」。前日21日の楽天戦。同点の12回1死満塁で凡退。続く中島の適時打に救われていたが、すぐに借りを返した。

 最高のバースデープレゼントにもなった。試合後、落ち着きを取り戻すと、秘めていた熱い思いを明かした。この日は「たつ年のおやじの誕生日だった。なんとかバットに当てようと思った」。さまざまな思いを巡らせ、気持ちをバットに乗せた。「これが親孝行でしょ」と、おどけながらも、和歌山で暮らす、遠く離れた肉親へささげる一打だった。

 劇的勝利は4番の一振りが起点となった。中田が集中力を極限まで高めた。2点を追う8回無死一塁。バリオスの内角低めの145キロ直球に反応した。「本当によく反応できた」。強烈な低い弾道のライナーは、左翼席最前列に飛び込んだ。「打った本人がびっくりしている。2度とあのコースは打てない」という同点15号2ラン。失策あり、好機での凡打ありと、精彩を欠いていた姿を払拭(ふっしょく)。主砲が大谷KOの嫌な流れも吹き飛ばした。

 同点に追いついた直後、栗山監督も勝利への執念を体現した。近藤は三遊間へ深いゴロ。捕球した今宮からの送球が右翼側に反れ、一塁手・明石の右足が一塁ベースを離れたように見えたがアウト。指揮官は一目散に三塁側ベンチを飛び出し、猛抗議した。西川は「監督の長い抗議のおかげで、疲れが飛んだ」。チーム一丸で勝ち取った今季2度目のサヨナラ勝利だった。【木下大輔】