最後は主砲がダメ押した。日本ハム中田翔内野手(26)が、技ありのアーチでチームを大勝に導いた。7回1死一、三塁。フルカウントとなり、思考はシンプルだった。「狙い球も絞りやすかった」。6球目は外角への142キロ直球。想定通りの軌道に、素直にバットを合わせた。右方向への飛球に「(スタンドへ)行ったと思いましたけどね」。手応え十分の感触通り、白球は右翼席へ吸い込まれた。16号3ランで、ソフトバンクを突き放した。

 8年目の今季は、打撃の調子が安定している。5月は8本目のアーチとなった。13年5月と今季の3、4月に続く月間本塁打の自己最多タイに並んだ。「気にしちゃうんで」と、本数の話題はタブーだが年間51発ペースだ。「40」でリーグトップタイに並んだ打点も、年間では127打点ペース。タイトルを獲得した昨季の100打点を軽く越える計算だ。

 勢いは継続しそうな予感だ。この日の逆方向への1発が、手応えを物語る。「右方向へ打つのは自分にとって難しい」と自覚する。広角に打ち分けることが出来れば「(打)率も上がってくるはず」。安打の延長が本塁打と考える主砲。今季初の右翼へのアーチは思考の幅も広げそうだ。

 チームは今季2度目の4連勝で3カード連続の勝ち越し。交流戦前の首位も確定した。「今日みたいなホームランが、もっともっと打てれば」。大好きな勝利の味が、さらに4番を波に乗せる。【木下大輔】