エースで白星発進だ! 広島の前田健太投手(27)が、交流戦開幕戦となるロッテ戦に先発し、7回1失点の好投で勝利に貢献した。自身4勝目を手にし、チームの地方球場での連敗を10で止めた。過去5年連続負け越しの鬼門・交流戦開幕戦勝利は2年ぶり3度目。1点差に追い上げられた直後の8回には丸佳浩外野手(26)が満塁本塁打を放つなど、一丸で勝利を手にした。

 力を込めた115球目。前田は、この日さえ渡ったスライダーで見逃し三振に取ると、マウンド上で右手拳を握った。交流戦前に「流れを変えられるように」と誓った交流戦初戦。エースとして、マウンドで示した。鬼門の交流戦白星発進へ導いた。

 チームが10連敗中と苦手としていた地方球場で、完璧な立ち上がりで流れを引き寄せた。直球主体の投球に縦のスライダーを効果的に織り交ぜ、1人の走者も許さない。テンポのいい投球が攻撃にリズムを与え、3回に先制。さらに4回は前田のチャンスメークから追加点につなげ、5回までに3点の援護をもらった。中盤以降は走者を背負いながら要所を締めた。

 広島は昨季交流戦で9勝15敗と大きく負け越し、昨季まで5年連続負け越しだ。緒方監督は「大きなポイントとなる」と話し、過去10年2度しか勝っていない交流戦開幕投手に前田を指名した。右腕に大きな重圧がのし掛かったが、5度のリーグ戦開幕投手、WBC日本代表など大舞台を知る右腕は泰然自若。「楽な試合はないけど、プレッシャーがかかっていない試合でも、自分でプレッシャーをかけるように心掛けている」。5日巨人戦で1回に大量10点の援護をもらっても「大一番のつもりでプレッシャーをかけて投げた」と7回無失点。この日を含めて開幕10試合全てでクオリティースタートを記録する安定感だ。

 自身初となる交流戦開幕投手を務めた13年以来となる3度目の交流戦白星発進をもたらした。今季2カード続く6連戦の初戦を勝利したのも初めて。「カードの頭と自分が投げる試合が重なる。これを続けていかないと」。6連戦が3度続く今季交流戦。来週も再来週も、エースが勢いをもたらせる。【前原淳】