クレーン4台にもびっくりしたけれど、4発にも仰天だ。ソフトバンクがハプニングに負けずリーグ首位に返り咲いた。「日本生命セ・パ交流戦」のヤクルト戦。1回に内川聖一外野手(32)、李大浩内野手(32)が連弾。3回には柳田悠岐外野手(26)が2試合連続アーチ。6回には松田宣浩内野手(32)がダメ押しの1発だ。今季2度目の1試合4本塁打で、3連勝。ド派手に奪首祭りだ。

 ハプニングなんて豪快に吹き飛ばせばいい。首位返り咲きにふさわしいド派手なアーチ攻勢だ。初回に先陣を切ったのは内川。「負けると球団の方にも予定を組んだ方にも申し訳ない」。ヤクルト小川のフォークを左翼スタンドへ運んだ。

 そのコメントの背景は試合前にあった。この日は移動ゲーム。空路名古屋から本拠地ヤフオクドームに戻ると、思わぬ光景が…。前日28日まで行われていた「三代目J Soul Brothers」ライブの撤去作業が終わっているはずが、行われていたのだ。コンサート翌日に野球の試合を組む日程は、ヤフオクドーム初だった。

 練習開始1時間半前のグラウンドにはクレーン4台に大型トラックやフォークリフト。作業のホコリで視界不良にもなっていた。屋根を少し開け、空調も強化。当初午後2時20分から打撃練習開始だったが、作業は終わらず午後3時過ぎにスタート。通常1人10分(5分×2)の打撃時間を8分に減らし、控えの5人は室内で打たせた。

 内川の先制5号2ランで火が付いた打線は、そんな“ビハインド”なんて関係なかった。続く李大浩が2者連発の12号ソロ。3回には柳田が11号ソロ。今季2度目のクリーンアップそろい踏みとなった。

 もっとも、内川は主将としてナインの気持ちも代弁した。「今後はないようにしてほしい」。通常、早めにグラウンドでアップする選手もいるからだ。終わってみれば、チームは5戦連続2桁安打。6回には松田にも12号ソロが出て今季2度目の1試合4発。試合前に「しょうがないじゃん」と話していた工藤監督も「(影響はなかった)でしょ」と笑顔だった。

 今季最多の貯金8。8日ぶりに首位。ハプニングも自慢の強打で笑い話にしてしまった。【石橋隆雄】