「ファースト阿部」で再出発する。首痛で2軍調整中だった巨人阿部慎之助内野手(36)の一塁再コンバートが16日、正式決定した。ジャイアンツ球場での全体練習前、原辰徳監督(56)と話し合って確認した。昨秋に一塁転向を決断。チーム事情で7試合目からマスクを託されたが、慢性的な首痛が悪化し離脱していた。リーグ再開初戦となる19日中日戦(東京ドーム)は一塁手として迎える。

 1軍合流初日のキャッチボール。阿部が手にしたのは、一塁手用のグラブだった。捕手か、それとも一塁手か。1軍復帰後の起用法について、練習前に原監督と話し合い、一塁への再転向を確認した。阿部は「再スタートという形でやっていくよ。やるからにはミスをしないように」と、力強く決意表明した。

 原点に立ち返った。原監督は「我々が10月に話した部分に戻ろうということですね。原点に戻ろうということです」と説明した。昨秋、巨人の扇の要という重責を長年担ってきたことによる体調面の不安と、打力を生かすべく、直接会談の末に一塁転向を決めた。チーム事情により序盤で捕手に戻っていたが、慢性的な首痛の不安は完全に消えるわけではない。

 かといって、大黒柱の離脱はもう繰り返せない。「捕手という中で、不安を持っていて守らせることはできない。本人もつらいだろうからね。99%(捕手は)ない」と阿部の思いをくんだ。1軍の捕手は相川、実松、加藤の3人制で、阿部は一塁に専念する。

 すべては打撃力復活を期待されてのものだ。阿部はこの日、2人1組で行ったロングティーを1人で打ち続けた。それでも物足りずに、室内練習場で30分間のフリー打撃をおかわり。「2軍で変えたものをしっかり自分のものにしないと」と人一倍バットを振り込み、フォームを固めた。

 今日17日からの2日間も1軍練習に参加し、状態が整えば、リーグ再開初戦の19日中日戦でベンチ入りする。スタメン起用となれば、中軸として期待される。ファースト慎之助が、湿りがちだった打線の起爆剤となる。【浜本卓也】

 ◆阿部の一塁コンバート経過 昨秋キャンプ初日の10月27日、原監督との会談で正式決定。負担の大きい捕手を務めてきただけに、体調面を配慮されての転向だった。3月27日のDeNAとの開幕戦は「4番一塁」で先発出場したものの、相川の負傷離脱という緊急事態で、開幕7試合目の4月3日阪神戦から捕手に戻った。同17日阪神戦で左太もも裏を肉離れして離脱したが、5月13日広島戦で「5番捕手」で復帰。その後は慢性的な首痛を抱えながら出場を続けていたが、今月6日ソフトバンク戦でマスク越しにファウルチップを受けて、翌7日に出場選手登録を抹消された。