今の阪神、打順、関係なくね? そう思わせる、流れるような得点劇だ。21日ヤクルト戦での死球の影響などもあり、鳥谷を5年ぶり7番で先発させると、1番上本博紀内野手(28)が決勝打を放ついい流れ。5回に下位打線がつくった好機を実らせ、今季無敗だった虎キラーDeNA三浦に土をつけた。

 「1番上本」が6連勝を運んできた。鳥谷に代わる1番に座ったのは、14日オリックス戦以来。2点リードを追いつかれた直後の5回裏1死二塁で三浦のスライダーを捉え、遊撃手の頭上を超える適時打を放った。「鶴岡さんがよくかえってきてくれました。鶴岡さんのおかげです」と二塁走者に感謝した。

 遊撃倉本がグラブを伸ばすも捕りきれず、中前に落ちた打球。三塁・高代コーチの好判断と鶴岡の力走が生んだ殊勲打なのは間違いない。「晋太郎がきっちりと1球でバントを決めてリズムよくチャンスの場面を作ってくれて、自分の難しい当たりで鶴岡さんがホームまでかえってきてくれましたし」。上本は自分の打撃を誇るより、3点目にからんだ周囲を立てた。それも、カウント2-2と追い込まれながら逃げる変化球にくらいついた上本の粘りがあればこそ。和田監督も「非常にいいつながりが出来たと思う」と喜んだ。

 前日27日は6番で1点差に迫る適時打を放ち5連勝を呼んだ。1番での決勝打は、4月30日ヤクルト戦以来。打率は2割3分7厘と前日と同じでも、得点圏打率は3割2分6厘とまた上げた。「同点に追いつかれてしまったすぐあとに勝ち越し点を取れてよかったです」。試合の流れを逃さない千金の安打だった。【堀まどか】