阪神が首位から陥落した。打線は5安打で完封負けを逃れるのがやっと。投手陣も打ち込まれ、ワンサイドゲームで3連敗。相性が良かったはずのヤクルト相手に貯金をはきだし、勝率5割に舞い戻り。勝率ではヤクルトと同じだが、勝利数で下回っているため2位転落…。プロ野球初となる通算1万試合を飾る今日3日のDeNA戦で出直しや!!

 神宮球場のスコアボードが重くのしかかる。終わってみれば1-10の大敗。三塁側ファウルゾーンを歩く和田豊監督(52)に容赦ない罵声が響く。「ワダーーッ、何しとんねん!!」。「ワダーーッ、コラ!!」。期待が大きかった分だけ、失望も大きい。カード前に8勝2敗だったヤクルト相手に3連戦3連敗。6月24日から8日間守ってきた首位の座から転落した。大混戦を抜け出すはずが魔の神宮になってしまった。

 4点差をつけられた8回は3番手島本がメッタ打ちに遭う。田中浩に左翼へアーチを許し、山田に再び大飛球を虎党ひしめく左翼席に運ばれた。和田監督もタオルを投げ込むしかなかった。「投手陣全体がこの球場に来るとバタバタしてしまうところがある」。一挙5点を奪われ万事休す。首位をヤクルトに明け渡して2位に転落してしまった。

 序盤から、闘争心が空回りしていた。相手先発は軟投派の下手投げ右腕、山中だった。130キロに満たない速球と110キロ前後のスライダーで勝負してきた。2回2死一、三塁で藤井が外角低めスライダーを引っ掛け、遊ゴロ。先制機を逃すと、相手のペースに翻弄(ほんろう)された。ようやく得点したのが6回では時すでに遅し。昨年8月5日、救援登板の山中に3本塁打9安打を浴びせて6点を奪ったのがウソのよう。まさかの大苦戦に和田監督も渋い表情だ。

 「フォーム的なところ、球が来ないからちょっと上体が引っ張り出されたり、差し込まれたり、タイミングを取りづらいタイプ。先に点を取られて焦ってしまったところがあった」

 打線の窮状は深刻だ。この日は不調の上本がスタメン落ち。1、2番が機能せず、好調の主軸がまったく生きない。長くトップバッターで引っ張ってきた鳥谷は6月下旬の死球で、4月に痛めていた右脇腹の傷が再発。この日も6番だった。平田ヘッドコーチは打順昇格の可能性を問われたが「いやあ、まだ。みんな分からんだろうけど、かなり無理をしてやってくれている」と説明し、症状は軽くない模様。当面は日替わりの1、2番でやりくりする状況が続きそうだ。

 6連勝で首位に立ち、意気揚々と乗り込んだ東京で悪夢が待っていた。和田監督は「開幕からずっと辛抱して、踏ん張りどころが続いている。ここも踏ん張りどころだと思う。また明日から」。勝率5割に逆戻り。激しく浮沈を繰り返す和田阪神は、再び出直しを強いられる。【酒井俊作】

 ◆セ・リーグの順位決定法 勝率1位が2球団以上になった場合、その中で最も勝利数の多い球団を上位として扱う。ヤクルト、阪神はともに勝率5割だが、ヤクルト37勝、阪神36勝のためヤクルトが上位。