頼れる右腕の完封で、巨人が2位浮上だ。菅野智之投手(25)が中日打線を5安打に封じ、今季2度目の完封勝利。初回のピンチを丁寧な投球で切り抜け、ペースをつかんだ。亀井善行外野手(32)の2打席連続弾による2点を守りきり、5月26日西武戦以来4試合ぶりとなる7勝目。先発投手が勝ち、本塁打が生まれ、8カードぶりの勝ち越しも達成。混セを抜け出す、きっかけの1勝にする。

 マウンド付近にできた歓喜の輪の中心に、満面の笑みの菅野がいた。駆け寄る仲間を、ハイタッチで迎えた。前日は救援陣の好投で延長12回引き分け。「始まる前から、沢村さんと山口さんには『休んでください』と。最後まで投げるつもりでした」。狙い通りの幕切れを迎えた喜びは、格別だった。

 ゲームの流れを見極める冷静さが、勝利を引き寄せた。1回2死二塁で、首位打者ルナ。ここで勝負を焦らなかった。今季喫した6敗は全て先制を許した。今は打線も本調子ではない。塁は2つ空いている。球数を要してでも、アウトを1つ取って無失点で切り抜けることに集中した。ルナと好調ナニータとは強引な勝負はせず、連続四球で満塁。それでも「ボールは良かったですから」と動じず、エルナンデスは浮き上がるような147キロ直球で空振り三振。38球を要し、傾きかけた流れを断った。

 2回以降は、打ち気にはやる相手を見透かしたように、早いカウントで勝負にいった。力強い直球を軸にカーブやスライダーも四隅に丁寧に散らし、手を出させた。8回無死一塁では積極的な友永を初球シュートで引っかけさせて併殺打。打者心理を手玉に取った。

 コンディション作りもぬかりなかった。1カ月間勝ちから遠ざかっても、心を乱さず、体調管理に神経を注ぎ続けた。「大事なのは質のいい睡眠」と昼寝を我慢し、夜に7時間は熟睡するよう努めた。チームが苦しい状況で、万全に仕上げてきた。「初回で3回分くらいの力を使っちゃいましたから、ペース配分しながら完封を目指そうと思いました」。124球を投げ終えても、余力十分だった。

 連敗を2で止め、2位に押し上げた。原監督は「きっかけが3つ、そろったからね」と朗らかに言った。菅野の勝利、中軸の本塁打、8カードぶりの勝ち越し。欲しかった3要件がそろった。この1勝を、混戦を抜け出すスタート地点にする。【浜本卓也】

 ▼菅野が今季2度目の完封で7勝目。6月の菅野は0勝2敗だったが、自身2連敗で迎えた試合は14年7月16日ヤクルト戦○、15年4月16日DeNA戦○、同5月12日広島戦○、同7月5日中日戦○と4戦4勝。まだプロで3連敗がない。この日は初回、満塁のピンチでエルナンデスを三振。今季、巨人投手の満塁での被打率を出すと

 菅野10打数0安打(被打率・000)

 その他48打数16安打(被打率・333)

 菅野以外は3割3分3厘と打たれているが、菅野は安打を許していない。