広島が14安打11得点で快勝。連勝で借金を4とし、4位に浮上した。

 緒方孝市監督(46)は先発した黒田が四球を選んだ6回の打席を絶賛。ビッグイニングを呼び込んだ打席を殊勲に挙げた。

 場面は1点リードの6回2死一、三塁。打席に黒田が入った。何とか好機を生かそうと、グリップを巻いた黒いバットを握りしめていた。気迫に押されたか、ヤクルト新垣は2ボールとボール先行。3球目、外へ逃げていく球を空振りすると、右手でバットをつかみなおして悔しがった。4球目はボール。ここまですべて、外への変化球だった。5球目。145キロの直球は黒田の体付近を通過した。まさに“顔”で奪った四球だった。黒田は心なしか険しい表情を作り、新垣を見ながらゆっくりと一塁へ向かった。その後、丸が菊池が続き、5得点の呼び水となった。

 指揮官は大歓声を浴びながらクラブハウスへ向かう途中に自ら切り出した。「何といっても6回の四球だね。打席でも貢献してくれた。開幕からずっと9番目の打者としての意識を持ってくれているし、しっかり振ってくれる。なんとしてもという四球が、キクマルへとつながっていった。ビッグイニングにつながる、大きな四球だった」。投げて、“見て”、試合を決めた。黒田の存在感をあらためて感じる夜だった。