中日が、阪神に逆転負けを喫し、93試合目でついに自力優勝の可能性が消滅した。2-2と同点の9回に3番手又吉が決勝打を浴びて力尽きた。今季初めて4番に抜てきされた平田も4打数無安打とブレーキ。2度目の6連敗で借金は今季ワーストの13となった。谷繁兼任監督が出場3018試合のプロ野球新記録を達成した翌日、竜が試練の時を迎えた。

 悲鳴に包まれた打球が左中間を破った。2-2で迎えた9回。2イニング目のマウンドに上がった又吉が先頭マートンに四球を与えると、今成の送りバントで1死二塁。試合を決められたのはルーキーのバット。この日4号ソロを放っている江越に、初球スライダーを豪快スイングで捉えられた。これが首位と最下位の差なのか…。試合終盤の粘り腰がまるで違う。

 「まあ、数字ですから。それは」。谷繁兼任監督は淡々と自力V消滅という事実を受け止めた。今季2度目の先発マウンドの雄太は6回途中1失点と踏ん張った。指揮官は6回2死二塁で右の主砲ゴメスを迎えると、すぐさま交代を決断。2番手田島が後続を断った。だが、7回から歯車が狂い出す。イニングまたぎの田島が江越から同点弾を浴びると、悪夢の終盤へ。負の連鎖は止まらなかった。

 悪いときは何をやってもハマらない。谷繁兼任監督は試合前に打順を再考。4番に今シーズン初めて平田を据えて、打撃好調のルーキー遠藤を7番に置いてつながりを意識した。ところが平田が4回無死一、三塁のチャンスで三邪飛に倒れるなど1併殺含む4打数無安打。2安打の遠藤とは対照的に期待に応えられなかった平田は「悔しいです。明日しっかり練習します」と責任を背負った。

 プロ野球新記録の祝福ムードはもう吹き飛んでしまった。前日28日は谷繁兼任監督が前人未到の3018試合出場を果たした。前夜は敗れたため、「1日遅れの勝利」をプレゼントしようとしたが、結果は悲しすぎる逆転負け。2度目の6連敗。首位に立つ阪神、ヤクルトには8ゲームの差がついた。借金13…。目を覆いたくなるような数字ばかりが並ぶ。だが、コツコツと数字を積み上げてきた指揮官のスタンスはブレない。

 「選手個人、個人がやれるべきことをやっていく。それしかない」。まだ諦めるには早すぎる。ファイティングポーズはまだ崩さない。【桝井聡】

 ▼中日の自力優勝の可能性が消滅した。中日は残り50試合に全勝しても、89勝52敗2分けで勝率6割3分1厘。阪神は中日戦の残り8試合に全敗しても、他の43試合に全勝すれば90勝52敗1分けで6割3分4厘となり、中日を上回るため。