大敗の中に光明あり。日本ハムがオリックスの一発攻勢に屈したが、4番中田翔内野手(26)が7回、14試合ぶりとなる今季24号ソロ本塁打を放った。糸井に2被弾など球団33年ぶりの京都で敗れ、首位ソフトバンクと今季最大の6・5ゲーム差。それでも主砲の64打席ぶりアーチは、今日31日からのロッテ3連戦(札幌ドーム)に明るい材料となった。

 敗戦の瞬間を目に焼き付けていた。中田は三塁側ベンチに背を預け、歓喜に沸くオリックス・ナインを見つめた後、ゆっくりと立ち上がった。最終9回に走者に出た近藤と代走岡をねぎらうように迎え入れ、グラウンドに深く一礼。悔しさを押し殺し、ベンチ裏へ引き揚げた。痛恨の黒星に4番の責務を、ひしひしと痛感した。「意味ないところで打って申し訳ない」。待望のアーチにも、ふがいなさだけが募った。

 淡々とダイヤモンドを1周した。京都の夜空に意地の1発を放った。7点ビハインドの7回。内角低めの直球に、うまく反応した。左腕をたたみ、捉えた打球は左翼席後方にある大木めがけて飛び込んだ。「反応です。感触は良かった」。7日ロッテ戦以来、14試合64打席ぶりの24号ソロ。5番近藤が6号ソロで続いたが、劣勢をはね返す号砲とはならず。投手陣は3被弾、打線は5安打に封じられての完敗。笑みを見せることなく球場を後にした。

 5週連続6連戦の最初のカードは最下位オリックスに負け越し。猛暑が厳しい、屋外での敵地3連戦。思い通りの結果は得られなかったが、主砲が長いトンネルを抜けたことは明るい材料。栗山監督は「翔の状態が上がるのを、こっちは待っている。いずれにしても、翔が打たないとウチは勝てない」と、完全復調をじっと待つ。

 試合のなかった首位ソフトバンクとは今季最大の6・5ゲーム差となった。今日31日からは6連勝と波に乗る4位ロッテと3連戦。本塁打の感触を思い出した4番を中心に、札幌ドームで仕切り直す。【木下大輔】