首位の背中が遠ざかる。日本ハムがロッテに敗れ、首位ソフトバンクとのゲーム差は今季最大の7・5に広がった。栗山英樹監督(54)は2点を追う4回1死満塁、大谷翔平投手(21)を代打で起用。二ゴロ併殺崩れの間に1点を返し、これが口火となって一時逆転に成功した。打線の援護を受けながら先発吉川、2番手谷元が持ちこたえられずに終盤3失点。試合前半から大谷投入の勝負手も実らなかった。

 両手を後ろポケットに突っ込み、思わずつぶやいた。栗山監督は試合後の会見を終えると、大きく息を吐いて「う~ん、へこむなぁ」。積極采配で局面を打開しながらの競り負けで連敗。「ここからは結果がすべてなので」と、現実を受け止めたが、後ろ髪が引かれる展開だった。

 仕掛けは早かった。2点を追う4回1死満塁。球場が一瞬どよめき、歓声に変わった。7番杉谷に代えて打席に送ったのは代打大谷。痛烈なゴロは二塁手・クルーズに好捕されたが全力疾走で併殺を阻止。1点を返した後半戦初打点が相手に傾きかけた流れを一時、食い止めた。大谷は「ヒットにならないと話にならない。早い回に代わった杉谷さんに申し訳ない」と嘆いたが、思いは後続に伝わる。大野、西川の連続適時打で一時逆転に成功した。

 栗山監督の勝負手だった。大谷を4回で代打起用するのはアクシデントを除けば3年目で最速。1年目にスタメン野手の体調不良で4回に出番が訪れたケースが1度あったが、他はすべて6回以降の起用だった。「今は、こういう時期なので最初から勝負どころは早いと思ってやっている」と、栗山監督は3回から代打の準備を指示。期待通りの結果を得たが、投手陣が崩れた。5回以降は無安打と打線も沈黙。「全然こっちのペースにならなかった」と、手痛い1敗となった。

 首位ソフトバンクとのゲーム差は今季最大の7・5に開いたが、引きずってはいられない。栗山監督も「勢いとか、そういう時期ではない。1つ1つ取りにいくしかない」と、前だけを見続ける。7月は12勝8敗、貯金4で終了。今日1日からはシーズン佳境の8月に突入。気持ちも入れ替え、上だけを追い続ける。【木下大輔】