中日が悪夢の逆転サヨナラ負けを食らった。連敗は94年以来21年ぶりの「8」になった。2点リードの9回から登板した福谷浩司投手(26)が1死満塁として片岡、坂本に連続適時打を浴びた。新外国人ドリュー・ネイラー投手(29=四国IL・香川)がデビュー戦で6回2失点。勝ち投手の権利を手にしていたが泡と消えた。不振が長引く福谷は2軍降格の可能性が高まった。

 福谷の制球が定まらない。この時点で6度目のサヨナラ負けはちらついていた。だがベンチはタオル投入を見送った。谷繁兼任監督は続投させたことに「その考えは選択肢の中にあったけど、やっぱり最後を締めてほしかった」と唇をかんだ。左肘痛の岩瀬の代わりに今季の守護神を任せた。だが好不調の波が収まらない。楽な場面で投げさせたりと1軍に置きながら復調を待った。指揮官は「限界に来ているのかも」と2軍降格を示唆した。

 福谷は「チームがこういう状況の中で、いただいたチャンスを踏みにじったことが悔しい。チームとネイラーに申し訳ない。それしか言えません」と伏し目がちに声を絞り出した。

 新外国人ネイラーがデビュー戦で先発。140キロ台中盤の速球と、細かく動くボールを巧みに配して持ち味を出した。母国オーストラリアで巨人戦のテレビ放送を見たことがあり、巨人との対戦を夢見ていた。だが6回、勝負したい打者に挙げていた阿部にソロを浴びた。小林にもソロ弾を許して追いつかれた。

 6回2失点で降板したが、7回のルナの2ランで勝ち投手の権利が復活していた。目前にあった来日初勝利も9回に幻になった。

 前回の8連敗は21年前の94年。8月の8連敗で1度はペナントレースから脱落しかかったが、9月中旬から9連勝と再び浮上して巨人との伝説の「10・8決戦」までこぎつけた。

 負けが込んではいるが、今年もまだ数字的には上位浮上の可能性を残す。それでも「勝負の月」と位置づける8月に入ったその日、抱え続ける難題を痛烈に突きつけられた。【柏原誠】