ソフトバンクが9回2死から、漫画のような4点差をひっくり返すサヨナラ劇でマジックを33に減らした。主役は柳田悠岐外野手(26)だった。中村晃の適時打で2点差に迫り、なおも2死一、二塁から、佐藤達の147キロ直球を強振し、右中間スタンドへ放り込んだ。打った瞬間、ナインがベンチからバンザイして飛び出す完璧なアーチ。柳田は「まさか打てるとは思っていなかったのでびっくり。オレやったら(試合途中で)帰るかなと思ったんで、最後まで見ているファンの方がたくさんいたので、なんとか打ちたいという気持ちが強くなりました」と興奮していた。

 事実、今季4点差以上を逆転したことはなかった。それでも、ボール球を振らずに甘い球だけ狙って一丸となった打線が、9回1イニングで5点を奪うミラクルを生んだ。22号サヨナラ弾に「いい感触。打撃練習でいつも打っているような、ヘッドが抜けたような感覚があった」と話した。

 工藤監督は奇跡的な逆転劇に「ドラマか映画を見ている気分だ。解説できないよ。みんな、すごい集中力を持ってくれた。強さを感じる」と声をうわずらせた。連覇へ向け、さらに勢いがつく1勝となった。【石橋隆雄】