ソフトバンクが延長12回引き分けに持ち込み、優勝マジックを1つ減らし「18」とした。4時間49分は今季チーム最長ゲーム。工藤公康監督(52)が「長い試合だった」と振り返った一戦で、眼下の敵に投打で層の厚さを見せつけた。

 6回までわずか1安打に抑え込まれていた日本ハム中村に対し、7回に代打攻勢をかけた。2点を先制された直後だった。高田、吉村を送り出し的中。吉村の左前2点打で追いついた。

 一方で自慢のリリーフ陣も踏ん張った。先発スタンリッジが7回途中で2失点降板。飯田、五十嵐が流れを止めると、9回にはサファテ、10回から森をつぎ込んだ。

 サファテは前日29日に8回途中から登板し、39球を投げセーブ機会を失敗。森も前夜登板し、連続四球などで4失点。それでも、工藤監督は2人とも送り出した。「サファテ本人も(連投で)いけると言ってくれた。森はリベンジしてほしかった」。

 森は3イニング目となる12回に左の大谷が代打で登場したが続投。前日、先頭打者として登場した大谷に四球を出して崩れた汚名を返上する場面がめぐってきた。ベンチの期待に応えるように3球直球勝負で空振り三振。7投手継投の軸となった森は「四球だけは絶対ダメだと思った。失敗したらすぐに投げたいのでよかった。コースもつけた」。前日の映像を見て体のブレを修正し、本来の直球を取り戻した。

 2位日本ハム相手に1勝1敗1分け。工藤監督は、緊張感ある3連戦を「よくしのいでくれた」。8月は24試合で17勝6敗1分けの勝率7割3分9厘。6月から3カ月連続で勝率は7割超。失敗した選手にすぐチャンスを与える工藤采配で連覇へ前進。いよいよ記録的快進撃のクライマックスとなる9月を迎える。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンクが日本ハムと引き分けてマジックを1つ減らし18とした。最短での優勝決定日は9月11日。その場合123試合目、20試合を残してのVとなる。

 ▼パ・リーグで優勝決定日が最も早かったのは、64年南海と95年オリックスの9月19日(前後期制を除く)。また、最も多く試合数を残して優勝を決めたのは65年南海の19試合(年間140試合で121試合目に決定、9月26日)。ソフトバンクが9月11日に優勝を決めると、そのどちらをも抜いて新記録となる。