ソフトバンクが「9月失速」のジンクスを打破して、リーグ連覇の扉を開く。球団名変更の05年以降、9、10月に勝ち越したのは、たった2度。シーズン最終盤の戦いを苦手にしている。圧倒的な強さを見せる今季も最後の関門になるのは間違いない。チームの得点力を左右する柳田悠岐外野手(26)は、原点回帰のフルスイングを誓った。

 「(ここ最近)打率を意識したら、ダメだった。『ヒット、ヒット』って、思って打ったら、よくなかった。ホームランを打つつもりで打った方がいい。やっぱり、強く振らないといけない」

 ここ5試合で17打数2安打。打率は3割5分9厘まで下げた。トリプルスリー達成を目前にしているが、「それよりも早く優勝を決めたい」と9月攻略に意気込んだ。

 工藤監督は失速データを突きつけられても、落ち着いていた。「いいときも悪い時もあるが、うちぐらいだろう。極端に落ちていないのは…。それだけ気持ちを張って、やってきたということ。落ちたから、えらいこっちゃ、ではない」。8月は主力野手に対し、試合のない日に積極的に休養を与えてきた。疲労がたまる時期に、勧めたのは気分転換だ。「体は1日休んでも、大したことはない。体よりも頭。リフレッシュできたら、疲れも抜けたりすることがある。外で気分転換するのも悪くない」。

 貯金「39」の蓄えもある。守りに入る雰囲気もチームにはない。圧倒的な強さを維持し、マジック「18」から一気にゴールテープを切る。【田口真一郎】

 ▼マジック18とするソフトバンクの最短での優勝決定日は9月11日。パ・リーグで優勝決定日が最も早かったのは64年南海と95年オリックスの9月19日(前後期制を除く)。