春王者の仙台大は東北大との3戦勝負に競り勝ち、苦しみながらも勝ち点1をもぎ取った。「1年生カルテット」が攻守で活躍。3回表2死二塁、今秋から二塁手でレギュラー入りした1番の郡(こおり)泰輝(帝京)が左前に先制打を放つなど「新切り込み隊長」の役割を果たした。

 仙台大がルーキー二遊間コンビで先制し、主導権を握った。3回表1死から8番柏尾祐輔遊撃手(市立呉)が中前打で出塁。2死から二盗も決め、郡の秋初安打で生還した。今秋から先発入りの郡は開幕から3戦目、通算9打席目で秋初打点もマーク。「つなげる気持ちでコンパクトに振り抜けた」と先頭打者の役割を果たした。

 俊足、強肩、巧打が買われた。春は代打や代走で6試合に出場。打席には3度立ち、2打数2安打2打点1四球1盗塁と、打率10割の成績を残した。中学時は陸上部にも所属。50メートル走5秒8、100メートル走12秒で東京都中学大会8位入賞実績を持つ。それもすべて野球のため。この日10ゴロ、1飛球を無難に処理した郡は「(走攻守)3拍子そろった選手になりたい。ダイナミックなプレーでチームを盛り上げたい」と広島の菊池涼介を目標に掲げる。

 プロ注目の熊原健人投手(4年)や松本桃太郎内野手(3年)にあこがれて入学。紅白戦で対決機会のある郡は「(リーグに)熊原さん以上の投手はいない。いい練習になり、本番に挑める」と自信を深めている。俊足を生かして秋初盗塁もマーク。「足で使ってもらっている部分もあるので、勝負したい」とライバルの東北福祉大・鈴木光(4年=会津)の5季連続盗塁王を阻止する構えだ。

 この日は5番鳥井凌(尽誠学園)も3試合連続安打をマーク。捕手の辻本勇樹(北海)も2投手を好リードするなど、先発1年生4人が起爆剤になった。郡は「ミスを恐れず、1年生らしくフレッシュなプレーでチームに貢献したい」と話した。【佐々木雄高】

 ◆郡泰輝(こおり・たいき)1996年(平8)4月4日、東京都三鷹市生まれ。南浦小2年から野球を始める。三鷹第一中では陸上部に所属し、武蔵府中シニアで捕手。帝京高入学後に内野手に転向、1年秋からレギュラー。2年秋にベンチから外れるも3年夏に先発復帰。家族は両親と弟。右投げ右打ち。165センチ、65キロ。血液型AB。