サヨナラ弾男だ。ソフトバンク松田宣浩内野手(32)が延長12回2死一塁で、2試合連発となる31号2ランを放ち、5時間1分のロングゲームをサヨナラ勝ちで飾った。すべて延長戦で、パ・リーグ記録に並ぶシーズン3本目のサヨナラアーチ。優勝マジックを12としたチームは、3位以内も確定。両リーグ一番乗りでクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。

 打った瞬間に勝利を確信した。松田は、ほえながらバットを放り投げた。延長12回2死一塁。5時間超のロングゲームを一振りで決めた。左中間ホームランテラスへ運んだサヨナラ31号2ラン。ナインが歓喜の輪をつくって待ち構えた本塁へ笑顔で飛び込んだ。「(本塁打後に行う恒例パフォーマンスの)『熱男~』が、できなかった。どこでやればよかったのかな。やりたかった~」とおどけた。

 今季3本目のサヨナラ本塁打だ。「何かやってくれるんじゃないかという期待に応えられて良かった」。過去2本はナイター。デーゲームのこの日はまだほとんど残っていたファンにサヨナラ勝ちを届けられた。大喜びで抱き合った工藤監督は「ああいうところが彼のいいところ」と、初球のスライダーを仕留めた積極性に感心した。

 今季9度目のサヨナラ勝ちで、貯金は今季最多の41。CS進出も決定。工藤監督は「目標はあくまで優勝なので、1歩1歩いきたい」とクールに言う。マジックを12とし、最短Vは14日。17日西武戦からの本拠地4連戦での胴上げの可能性も十分。前後期制を除けばパ・リーグで最も早い優勝決定日は9月19日(64年南海と95年オリックス)。それを更新する可能性も残している。松田は、お立ち台で「これから(8戦)ビジターに出ますが、しっかり勝ってまた福岡に帰ってこようと思います」とファンに約束した。どこで決まろうとも、連覇の瞬間まで、あと少しだ。【石橋隆雄】

 ▼松田が延長12回に今季3本目のサヨナラ本塁打。サヨナラ本塁打のシーズン最多記録は93年ハウエル(ヤクルト)の5本だが、パ・リーグでシーズン3本は02年松井(西武)以来7人目のタイ記録。ソフトバンクでは89年岸川に次いで2人目になる。松田は4月2日オリックス戦が延長10回、6月11日阪神戦が延長11回に打っており、シーズン3本の延長サヨナラ本塁打は69年大杉(東映)93年ハウエル(ヤクルト)に並ぶプロ野球記録だ。

 ▼ソフトバンクは3位以内が確定し、両リーグ一番乗りでCS進出を決めた。ソフトバンクのCS出場は2年連続7度目で、04~06年のプレーオフを含めると10度目になる。