日本ハム栗山英樹監督(54)が「二刀流」でチーム操縦法を、シフトチェンジすることを宣言した。首位ソフトバンク3連戦3連敗から一夜明けた11日、チーム内のムードに危機感を抱いていることを吐露。穏健派で、選手個々の自覚を促すスタイルだったが路線変更を示唆。機を見て武闘派へ変身し、厳しく進言するなどし手綱を締める考え。残り18試合。シーズン最佳境へ向け、ムチを打つ。

 瞳は、少し潤んでいた。栗山監督が思い返していくうちに、失望感がよみがえってきた。3連敗から一夜明けた、この日の朝。今日12日西武戦に備え、姿を現した新千歳空港で熱く説いた。自らが変身する必要性だった。

 栗山監督 思ったよりも(今季を通して)選手は成長していない。オレは手を入れていくよ。チームのスイッチを入れる、入れないはオレのせい。

 ソフトバンク相手の3敗いずれもが完敗。大谷と吉川、メンドーサの3本柱が倒れ、精彩も覇気も欠く試合内容だった。「やってくれてはいるけれどジレンマがある。見ていて感じる。イライラして、考え込んでしまう」。危機感から、スタイルを見直すことが頭に浮かんだ。

 穏健派から時に、武闘派への「二刀流」への転換。世間一般で知られるキャラクター通りの素顔が、操縦法の基本線だった。穏やかで怒りや憤りを言葉に乗せ、選手に伝えることは少ないタイプ。例を挙げればミスをした選手に「懲罰交代」を課すのではなく、逆に出場を続行させて失敗を取り返すチャンスを与える。チーム内からの人物像は「いい人」で一致する、選手との接点の持ち方だった。

 決意した。シーズン終盤に突入し、記録に表れない怠慢プレー、野球に対する姿勢の乱れが散見されるようになってきた。主体が若手だけに黙認してきた部分もあるが、最佳境へムチを入れると決意した。

 栗山監督 今まで我慢してきたけれど、口を出していかないといけない。

 打撃不振で「二刀流」が一時停止中の大谷への対処が顕著で、断言した。「才能があるのは分かる。でも結果が出ていない、打てない打者を使うわけにいかない」。ラストスパートへ入る。優勝の可能性は現実的に極めて厳しいが、進出濃厚なクライマックスシリーズも控え、その先に来季もある。栗山監督は、ほえた。「きっと『なめんなよ、野球を!』って言われているんだよ」。激しく襟を正し、かじを切り直す。【高山通史】