中日白井文吾オーナー(87)が、谷繁元信兼任監督(44)の続投方針を明言した。すでに現役引退が判明しており、来季は専任監督として4年契約の3年目を迎える。試合も快勝して今季の広島戦勝ち越しを決めた。残り10試合。最下位脱出は今日19日以降に持ち越されたが、オーナーの期待に応えて、来季以降につながる戦いを最後まで続けていく。

 来季に向けた1本の道筋がくっきりと浮かんだ。表彰のためナゴヤドームを訪れた白井オーナーが報道陣の前で初めて谷繁監督の続投を明言した。4年契約について「そういう風に(契約書は)言明している。契約を破るわけにはいかない」と話した。残り試合の戦いぶりで解約もあるかと問われても「そんなことできるわけない」と一蹴。球団方針を明確にした。

 続投要請はすでに本人に対しても行っている。しかし、14日のオーナー会議に出席した際、来季が4年契約の3年目になることについて聞かれ「いろんな説がある。契約書を調べないと。俺が知ってることと違う」と複雑な契約内容であることを示唆し、さまざまな臆測を呼んでいた。

 この日、あらためて真意を聞かれ「よく読んだ。思った通りで間違ってなかった」と説明した。オーナーは監督と接触せず、所用のため試合を見ずにドームをあとにした。だがそんなオーナーの期待に応えるように、チームは力強い戦いぶりを見せた。

 バルデスが2回以降は危なげなく凡打の山を築き、7回1失点。打線も藤井が4回に同点二塁打。6回には平田、森野、エルナンデス、藤井と4連打で2点を勝ち越した。黒田には今季4試合で3勝無敗。「黒田のときは投手も抑えて、ワンチャンスをものにして、そのまま勝っている」と監督が目指してきた理想の試合運びを演じた。

 これで広島に今季の勝ち越しが決定。DeNAが勝ったため、惜しくも5位浮上はならなかったが、最下位脱出近しを感じさせる試合だった。Aクラス入りは絶望的な状況だが、谷繁兼任監督は「1つの球団にしか勝ち越していない。喜んでいる場合じゃない。とにかくうちは1つでも勝てるようにやっていく」と最後まで手綱を緩めない。

 白井オーナーもかねて順位を1つでも上げるよう厳命してきた。今年の成績には不満を見せながら初めて専任になる来季のタクトには期待を寄せている。残り10試合は来季に向けた希望を見せる戦いになる。【柏原誠】