DeNA筒香嘉智外野手(23)が“お得意様”から決勝の20号逆転3ランを決めた。2点を追う3回1死一、二塁。阪神能見の内角直球を右翼席に放り込んだ。8月28日広島戦以来14戦ぶりの快音に「ゲッツーもあるので強いスイングを心がけた。腕をたたんでうまく打てた」と珍しく自画自賛した。左打者での2年連続の20本塁打以上は球団史上3人目。77、78年の高木嘉一、10、11年のスレッジ以来となった。

 球界を代表する左腕からの1発が成長を証明していた。今季の対能見は、試合前の時点で7打数6安打。打率8割5分7厘のハイアベレージだった。「流れるクセがあったので、今までは左投手は嫌いだったけど、今年は我慢できるようになってきた」と、右足で壁をつくり体重が流れていたスイングを改善。能見との対戦成績は左対左を克服した証しだった。

 将来がある若き主砲だけに20本塁打での満足感はない。「数字はいいことだけど、今はチームのために打てたかどうかの感情しかない」ときっぱり。中畑監督も「今年は彼が1年間4番として打線を引っ張ってきた。能力からすれば30本ぐらいはね。2年連続の20本は最低限の勲章だと思う」と、あえて及第点にとどめた。【為田聡史】