西南大が福岡大との2敗対決を制して、優勝戦線に踏みとどまった。先発の下津浦啓太投手(3年=筑前)が無四球3安打完封劇。武器であるスプリットが切れて強力打線を封じ込めた。

 西南大のエースが大きく見えた。先発の下津浦が成長した姿を見せて、福岡大をシャットアウト。「出来すぎです。9回を投げた感じがしないです」。110球の完封劇に涼しげな笑みを浮かべた。

 武器のスプリットが完全復活した。0-0で迎えた5回1死三塁のピンチには、ともにフルカウントからのスプリットで連続三振を奪って切り抜けた。「スプリットが落ちないようになっていたが、フォークのように深く挟んで練習していたら、スプリットも落ちるようになった」。もがき苦しんだ末、自慢の球を取り戻した。

 春のリーグを制し57年ぶりだった神宮へ。しかし初戦でサヨナラ押し出し死球の惜敗に終わった。夏は「どうしたら四球を出さないか」を徹底して練習してきた。負ければ優勝争いから1歩後退する大事な福岡大戦で無四球完封。神宮の悔しさは無駄にしなかった。

 東和樹監督(42)も右腕の活躍に目尻を下げた。「スプリットが切れていた。ピンチになるほど気持ちが入る子です」。6回1死三塁から犠飛で挙げた1点を守りきっての勝利。55年ぶりの春優勝の経験は、チーム全体の勝負強さにつながっている。【浦田由紀夫】