敗戦の中にも、「下克上」へとつながる収穫があった。8回に代打で右前適時打を放った日本ハム近藤健介捕手(22)が、その裏からマスクをかぶった。けがや送球難などもあって、捕手で出場するのは7月4日楽天戦以来。「最初は緊張もしましたけど、守備に就いて、打撃も生かせればそれが一番いい。自分の仕事をしっかりとこなしていきたいです」と、手応えも口にした。

 「捕手・近藤」の一番のメリットが、DH枠の活用だ。打率3割3分1厘、この日もチーム唯一の得点をたたき出した近藤のバットは最大の武器。DHでのスタメンが固定されていたここ3カ月は、必然的に大谷が代打待機することになり、打線としての攻撃力は落ちていた。栗山監督は「信念を持ってやってきたこと。日本一になるようなチームにすると、必死にやってきた。とりあえず一歩進んだ」。CSでの近藤、大谷の併用も視野に、頂点までの道を見据えた。

 シーズンは残り3試合。そのすべてがロッテ戦となる。近藤は「今日やられてしまったので、明日から切り替えて、自分のできることをやれればいいです」。ポストシーズンへの準備は着々と進んでいる。【本間翼】