2年目右腕がクライマックスシリーズ(CS)の戦力に急浮上だ。日本ハム高梨裕稔投手(24)が、今季のレギュラーシーズン最終戦となったロッテ25回戦に2番手で4回1失点(自責0)。ボークで失点したが、打者13人に無安打の快投だった。CSファーストステージ(10日開幕、札幌ドーム)へ、チーム同行が決定。登板2試合の新戦力が、ライバルに4連敗を喫したチームに明るい光を注いだ。

 少し肌寒い、秋風が吹く敵地で「サクラサク」の快投だった。2年目右腕の高梨が「暫定」ながら、CS切符をつかんだ。先発メンドーサの後を受け、4回から2番手で登板。プロ2試合目のマウンドで4回を無安打で1失点も、自責点は0。今季最終戦143試合目の正真正銘のラストチャンスで、CSに備えるメンバー入りを決めた。中継ぎ要員として1軍同行予定で、チーム事情によっては短期決戦に登板する可能性が出てきた。

 シンデレラボーイになった。ファーストSで対戦するロッテ打線は、プロ初登板初先発の5月3日に4回途中5失点KOされた相手。145キロ前後の力ある直球、決め球のフォークを駆使して返り討ちにした。西川の失策で1死三塁のピンチを招いた5回に、自らのボークで失点したが、ほかは完璧。4奪三振に無四死球と、中継ぎ適性をアピールして最佳境で滑り込んだ。栗山監督が「札幌へ連れていく。スピードというよりも、球質が良かった」と絶賛する内容に、戦力と見極めた。

 恩師に手向けの活躍を見せるチャンスが到来した。巨人、日本ハムで活躍した高橋一三氏が7月に69歳で死去。無名で入学した山梨学院大で師事し、プロへの道を開いてもらっていた。運命を感じるシーズン。高梨は「緊張はしたけれど、前回と違って平常心でいけた。どんどんアピールしていかないといけない」と突如の大役で、まず肩の荷を下ろした。ドラマを起こす気配漂う、秘密兵器が現れた。【高山通史】